kindleストアを開いたら、「新潮社バンチコミックス読み放題祭り」というコーナーがあった。
バンチコミックというと、「死役所」(あずみきし 著)が連載されている雑誌。
「死役所」は、いま確認したところ10巻目まで読み放題になっていて、私もそこまで読んだ。
死んだ人が成仏の手続きをする「死役所」。
職員は全員、死刑で死んだ人。
受付をした人の経歴や死因が明かされて、最後にその人の思い出のアルバムが提示される。
読むとものすごく暗い気持ちになるのに、読みだすとやめられなくなる、困った漫画だ。
そういえばドラマ化されたのだったか。
見たいような、見たくないような。
(´・ω・`)
ほかの作品も眺めてみた。
「クマ撃ちの女」(安島薮太 著)
北海道の女性ハンターと、同行取材するライター(男性)の物語。
ライター視点でのルポルタージュ的な作品なのかと思って読み始めたのだけど、そうじゃなかった。そして、すごく面白かった。
狩猟どころか山歩きの経験も乏しい若いライターが、街の日常とはかけ離れた狩猟の世界に巻き込まれ、凄まじい体験をする。
いきなりシカの解体に立ち会わされたり。
クマに襲われかけたあと、そのクマを捌いて運ぶ手伝いをしたり。
クマ撃ちに成功したハンターの最高にハイな状態に巻き込まれたり。
撃った獣を料理して、美味しく食べたり。
現代日本の旭川の話なのに、描写がリアルになればなるほど、異世界冒険ラノベを読んでいるような気分になるのが不思議だった。
現在、2巻まで読み放題になっている。
ものすごく続きが読みたいけど、書籍代節約のため、しばらくお預けだ。(;_;)
突き抜けて下品で残忍な光景が、ものすごく丁寧に、繊細に描かれていて、まずそのことであっけにとられる。
しかもその丁寧に繊細に描かれた特大下品なエピソードを、鼻かんだ紙みたいにあっさり放って、次の話に移ってしまう。
そしてまた突き抜けた下品と残忍が、繊細に丁寧に繰り広げられていく。
あらすじを説明する勇気はないので省略。
それはともかく、作者名を見て、二回くらい目をこすった。
まん○画太郎…
なんか、怪しい伏せ字みたいになっている。
こういうお名前ではなかったような……
もしや別人なのかと思ったら、冒頭に説明があった。
お詫び
今まで私はバカには理解されなくていいというスタンスで星のように尖って生きてきました。
しかし昨今の若者はゆとり教育とスマホ変換のせいで頭の回転がやたら鈍く、漢字もろくに読めないバカばかりです。これでは私の漫画が売れるはずがございません。
そこで私は、これまでの考えを悔い改め、これからは満月のように丸くなってバカでも理解できる漫画を描こう、そう決心し、そのいましめとしてペンネームの☆を○に変えました。
さらに「漫」という漢字も平成生まれの変換ゆとりバカにはちょっと難しいので平仮名に変えてあげたよ。
ありがたく思え、バカヤローーーーーッ!!
まん○画太郎
すごい理由でペンネームが変えられていた。
平成生まれって、そんなに漢字読めないかな。
四阿、膂力、陞爵、破落戸……昭和の生まれだけど、恥ずかしながら、ラノベで読み方を知った言葉が結構あったような……いや、そう多くもなかったか。
漢字力は、まん○画太郎氏の作品を理解する能力と、何か関係あるんだろうか。なんかもっと別の脳の働きを求められてる気がするけど、頭の回転が鈍いので、よく分からない。
そういえば、漫☆画太郎原作の映画「珍遊記」も、凄かった。松山ケンイチがずっと鼻ほじってた気がする。
残念ながらあまり笑えなかったけど(たぶん頭の回転が鈍いせいだ)、忘れられない映画ではある。
「ほぼほぼほろびまして」(吉沢緑時 著)
シリーズの1巻目だけ、読み放題になっている。
脱出系ホラーサバイバル、というのだろうか。
人類のほとんどがゾンビっぽい化け物になってしまった日本で、ものすごく普通そうに見える父娘が、巧みに生き延びている。
日常と非日常の混ざり具合がおかしい。
救いのないスプラッタな光景のなかで、きれいな顔で微笑んでいる若い父親が、飛び散る肉片などより、よほど気持ちが悪い。
父娘は化け物がいない離島を目指して支度をしているらしいけど、この世界の未来に希望があるとは、とても思えない。一体どうなるんだろう。
……
もっとほかの読み放題作品を見ようと思ってkindleストアに戻ったら、「新潮社バンチコミックス読み放題祭り」のコーナーが、消えてなくなっていた。
謎だ。