こんばんは。
ここ数日は、「カクヨム」という小説アプリで、いろいろなラノベを乱読していた。
最初に読んだのは、「豚公爵に転生したから、今度は君に好きと言いたい」(合田拍子 著)。
まだ連載途中の作品だけど、書籍化、コミック化もされているようだ。
ファンタジーアニメ作品の最低な憎まれ役である「豚公爵」スロウ・デニングに生まれ変わってしまった主人公が、心に秘めた最愛の人を守って平和に暮らすために、アニメのストーリーから逸脱した人生を歩んでいくお話。
いわゆる「悪役令嬢」ものの男性版みたいな感じかなと思って読み始めたけど、恋の成就のために乗り越えなくてはならない試練が、バトル系の少年漫画レベルに熱く激しいので、途中から恋愛云々よりも、冒険や戦闘のほうに夢中になってしまった。
「豚公爵」のスロウは、もともと類い稀な魔法の才能を持つ少年で、戦闘に特化されたデニング公爵家の子女の中でも、際立った戦力を持つことで、幼少期から国の内外に知られる存在だった。
だけどある日、亡国の姫君シャーロットが奴隷として売られそうになっているのを救出し、自分の一存で彼女を従者としたことから、スロウの運命は変わってしまう。
このまま公爵家の跡取りとして生きていけば、自分に釣り合う身分も能力もないシャーロットと引き離されて、政略結婚を強いられることになる。そうならないために、わざと過食して超肥満児になり、人に憎まれ見限られるような行動ばかり取るようになったのだ。
アニメでは、スロウは廃嫡追放されて野垂れ死ぬ運命をたどることになり、最愛のシャーロットは救国の英雄のハーレム集団に取り込まれて終わるのだという。
そうならないために、スロウは前世で得たアニメの知識を駆使して、自分が世界を救おうと決意する。いつどこで、誰がどんな事件を起こすのかを把握しているスロウは、全て先回りして解決し、国難となる大戦争を回避することに成功する。
ところが、定められた筋書きから外れた世界は、スロウにとって未知の試練を次々と用意して、スロウとシャーロットを引き離そうとして……
続きがどうなるのか、大変気になる。
(´・ω・`)
この作者さん文体の特徴なのだと思うけれども、心が熱くなるような場面になると、印象の強い体言止めの文をバシバシ重ねることがある。
慣れないうちは、読み込むのにちょっぴり苦労したけど、ひとつのシーンにいろんな言葉や絵を重ねて書き込む漫画と同じような感じだと思ったら、読むのがラクになった。
異世界の食品
ラノベの異世界転生(転移)ものを大量に読んでいると、かなりの作品が、似た感じの世界観を土台にして書かれていることに気づく。
異世界の多くは、国王と貴族が国を治める封建時代っぽい社会だ。大航海時代後で、産業革命前という感じ。
そんな異世界に放り込まれた主人公たちは、現代日本で身につけた一般的な知識によって、とてつもない影響力を持つようになる。
食料や衛生に関する知識や技術で無双するヒーローやヒロインの出てくる作品を、何十本読んだか分からない。
前世の職業で身につけた行政や経済の仕組み、戦争シミュレーションゲームで鍛え上げた戦略知識などで、異世界の試練を乗り越えていく主人公たちを見るのはとても楽しい。
そんななかでも特にお気に入りなのは、料理チートのネタである。
唐揚げとマヨネーズ。
米と味噌と醤油。
刺身、たこ焼き、みたらし団子。
サンドイッチにハンバーガー。
クッキーにシフォンケーキ。
日本で愛されているそれらの食品に、異世界の人々が驚愕して病みつきになるというお約束の展開が、楽しくてたまらない。
異世界には存在しない牛肉や豚肉のかわりに、モンスターや魔獣の肉を使って試行錯誤したりする様子なども、作品ごとにいろいろと工夫されていて味わい深い。
書籍化された作品からだけでも、かなりのレシピが拾えると思うのだ。
そんな調査から発展して、ラノベ読者が作品に求めているものが何であるのか、浮かび上がってくることもあるんじゃなかろうか。
ラノベ作品として量産される「異世界」は、多種多様でありながら、どことなく共通する世界観を持っている。
それらはなんとなく現代日本に生きている人々の集合意識の上に作り上げられているようにも思われる。
そういえば、音楽を異世界に持ち込む主人公、少ない気がする。文学や美術も極めて少ない。現代日本人の集合意識(かどうかはわからないけど)は、実用系のスキルが占有しちゃってるんだろうか。
文豪がバトルする漫画があったけど、著名な作家や音楽家や画家が異世界転生するラノベがあったら、面白そうだ。
「文豪ストレイドッグ」、途中までしか読んでなかった。お話、どうなったんだろう。