最近、kindle unlimited(読み放題)書籍を探しにくくなっている気がする。
おすすめされる書籍のジャンルは、ユーザーの読書傾向に合わせるせいか、だいぶ偏っている。私だと、ラノベと異世界系マンガばかりが、ずらりと並ぶ。
おかげでラノベやマンガ以外のジャンルの読み放題本を、だいぶ見逃している。
それはまあ自業自得なのだけど、おすすめ表示される書籍で人気のあるものが、ダウンロードがなかなか終了しないことも多いのには閉口する。
著者名で検索しても、あるはずの読み放題の著作が、なぜか表示されないこともある。
ラノベとマンガとハウツー本以外の読み放題書籍や、無料書籍の情報を、もう少しうまく、ラクに拾いたい。
どなたかそういう情報発信をしている篤志家はいないものか。
自分でやれということか。(´・ω・`)
読んでから紹介するのは、読書量的に無理だけど、見つけた本の情報を貼り付けるくらいなら、できないこともないかな。
ちょっと考えてみよう。
別ブログ立てるのも大変だし、ここでやろうか。
あれ?
自分でやってたら、全然ラクじゃないんじゃないか?
(´;ω;`)
まあいいや。
とりあえず、読んだ本のメモ。
「先生と化物のものがたり」(野原耳子 著)
kindle unlimited(読み放題)で読んだ作品。
不思議な味わいの伝奇小説だった。
ラノベのくくりでいいのかどうか分からない。読みやすいし、ハッピーエンドではあったけど、少し違うような気もする。でも、どう違うのかという説明は難しい。
(ラノベかラノベ以外かの区別って、どのあたりに決め手があるのかな。そのあたりの定義とか、あるなら知りたい。自分でも考えてみようかな)
「先生と化物のものがたり」の話に戻る。
おぞましい姿の不死の化物が、「先生」と呼ばれる人間の男性に深く愛されて、奇跡のような幸せに恵まれる物語、といっていいのかどうか、ちょっと迷う。
あらすじは概ねその通りだし、納得感もあるのだけど、なにかこう、だまし絵に取り込まれたような違和感が残って、落ち着かないのだ。
「化物」と「先生」が出会った時代ははっきり書かれていなかったけど、新聞が存在していたようなので、明治期以降の日本だと思われる。
「先生」は、最愛の「化物」と、二人のあいだに生まれた子どもたちに、別の世界に行って不死の存在になることを強く勧められるのだけど、頑として応じないまま、老衰で亡くなった。
子どもたちは、悲しみにくれる母親の心を癒すために、父親の生まれ変わりを探して何百年も旅をする。
平成か令和の日本に人間として転生した「先生」を見つけ出した子どもたちは、
「僕たち、何百年も父さまだけを探しつづけた」
と言うのだけれど……
明治から平成もしくは令和まで、どんなに長くても150年ちょっとだ。何百年とは言い難い。
彼らはこの世とは別の場所に行き来できるらしいので、時間の流れ方が違っていたのかもしれないけれど、そういう経緯は明らかにされないまま「何百年」という時間の流れが無造作に語られる。しかもその語りに説得力があるために、読んでいて奇妙なめまいを覚えるのだ。
「化物」のあり方も奇妙だった。
人間を簡単に引き裂いて捕食できるほどの力があるのに、長いあいだ、人間に幽閉されて、拷問によって従わされている。
「化物」は、神によって、誰にも愛されない醜悪な姿で生み出されたらしい。
「化物」が愛されないことは、神の定めた世界の理(ことわり)であるらしく、「化物」がどんなに苦しんでいても、神は助けようともしない。
けれども、愛が「化物」のあり方を変えていく。
同じように、「化物」の純粋な思慕が、一族の出来損ないとして虐待され続け、意志を持つことすらできずにいた「先生」を、狂気のような愛に駆り立てることになる。
「化物」が「醜いのに愛される」存在になってしまったことから、神は自分で作った世界のことわりに意味などなかったと判断して、勝手に幸せになれと宣言するのだけど……
そもそも、神はなんのつもりでそんな「化物」をこしらえたのか。どんなに醜い姿にしても、何かを愛する心を持たせたら、愛を返す存在に巡り合う可能性はゼロではないと、神なんだから分からないはずはないだろうに。
だいたい、この神もかなりおかしい。
変な関西弁を使い、せんべいばっかりかじっている。一応万能の存在として自分の創造物を管理しているらしいのに、やることが場当たり的で、何を目指しているのか計り知れない。人間には理解できない次元の理屈で動いているっぽいけれども、関西弁とせんべいのせいで、いろいろ台無しになっている。
最強の無意味が具現化したような存在なのだろうか。創造主が無意味の権化というのもすごい話だ。この神にくらべれば、「化物」はよほど筋の通った真っ当な存在に思える。
書かれずに終わった世界の深みが余韻として残る作品、というべきか。神サイドの物語も読んでみたかった。同じ作者さんの作者が、ほかにもkindle読み放題リストに入っているようなので、そのうち読んでみようと思う。
ちなみにAmazonでは、この作品は「BL」に分類されていた(読み終わってから気がついた)
確かに「先生」は男性で、「化物」の一人称も「おれ」だったけど、子ども産んで「母さま」って呼ばれてたし、姿は全身目玉だらけの不定形っぽかったので、「BL」のくくりでなくても全く問題ないと思うのだけど、そういうものでもないのだろうか。
「異世界で魔女に間違われたら愛されすぎて困ります!?」(如月美樹 著、深山キリ 絵)
誰にも愛されることがなかった主人公が、異世界に転移した途端、老若男女を問わず、ありとあらゆる人々に猛烈に愛され求められる存在になってしまうというお話だった。
愛される求められる理由の一つめは、日本人特有の黒髪と黒目が異世界では信仰と畏怖の対象だったため。
二つめは、小柄で童顔だったために、本当は19歳なのに9歳ぐらいだと思い込まれてしまったため。
三つめは、異世界の言語をうまく発音できないせいで、何を喋っても愛らしい赤ちゃん言葉風になってしまい、見た目の幼さとの相乗効果で、愛らしいものに飢えていた異世界の人々が例外なく悩殺されてしまったため。
その愛されっぷりを味わい楽しむお話なのだと思う。
前世では愛された経験が極端に少なく、特にカマトトキャラでもなかったらしい主人公が、転生後の周囲の凄まじい溺愛責めに、わりとあっさり順応していくのが、若干不自然な気もした。
もっとも、いきなり戦場のど真ん中に落とされて、砦に連行され、不審者として身体検査までされたら、本能的に幼児退行して身を守ったとしても、不思議ではないのかもしれない。
幼女と思い込まれたまま、いろんな人に溺愛されるので、誰かと恋愛関係が成立しても、ライバル同士で争いにならないのか心配だったけど、ラストできれいに話がまとまっていたのでホッとした。
「寵愛婚 華麗なる王太子殿下は今日も新妻への独占欲が隠せない」(惣領莉沙 著)
タイトル通り、王太子はたしかに独占欲がだだ漏れだったけど、一番肝心なことを伝えていなかったため、隣国から迎えた新妻が孤独のエアポケットに墜落するというお話だった。
隣国の王女は国王の次女であり、もともと王太子とは腹違いの兄の婚約者で、王太子は隣国の長女と婚約していた。
けれども兄と姉姫が相思相愛であり、王太子は妹姫を想っていたので、兄、姉姫、王太子の三人で結託して、お互いの婚約関係を入れ替えることを決意。
そのことを当事者の人である妹姫に一切打ち明けることなく、政治的取引の一環として結婚相手を入れ替えたため、妹姫は、王太子が仕方なく自分を娶るのだと思い込み、愛されない結婚生活を覚悟して嫁いでしまう。
もともと妹姫は、両親から向けられる愛が薄く、諦めることに慣れきってしまっていたので、いくら王太子が独占欲を見せても、姉の身代わりに大切にされているとしか思えない。
しかも、王太子が独身時代の虫除けとして常にエスコートしていた公爵令嬢が、姉そっくりな女性だったから、妹姫はなおさら諦観の境地を極めてしまい……
もちろんその誤解はちゃんと解けて、ハッピーエンドを迎えるのだけど、自分を除け者にして仲良く密談している三人を見ていた妹姫が、心の支えを求めて、王太子以外の男性を想うようになっても、全然不思議はなかったと思う。そうならなかったのは、王太子がたまたま妹姫の切ない初恋の相手で、他にめぼしい男性がいなかったからにすぎない。
それほどこじれないうちに、すれ違いが解消してしまったけど、大事なことを話さないまま結婚してしまった王太子は、もう少し痛い目を見てもよかった気がする。
痛い目といえば、分かりやすい悪役として、二人の結婚にケチたそうな公爵が登場するのだけど、一体どんな悪辣なことをしてくれるのかと思ったら、王太子妃にちょっと嫌味を言っただけだった。しかもその場で王太子妃に反撃され、王太子にも恫喝されてすごすごと引き下がり、家に帰ってからは話を聞いた実の娘にどやしつけられて終わっている。ここまでショボい悪役は、初めて見た。
それにしても、この作品、具合の悪いときに気を紛らわすために、あらすじだけ一気に掻っ込むような読み方をしてしまった。
思えばラノベのほとんどは、作者さんに申し訳ないような読み方ばかりしている気がする。
ラノベは読み物であって、飲み物ではないのに。
(´・ω・`)
ただ、そういう読み方ができてしまうのが、ラノベというジャンルの作品ではある。読むことで救われている読者としては、申し訳なくも有難いとしか言いようがない。
「無職独身アラフォー女子の異世界奮闘記」(杜間トマト 著)
「小説家になろう」で完結している長編作品。
主人公は35歳の独身女性。派遣社員だったけど今は無職。婚活のために多くの習い事をしたけれど、努力は実らず、彼氏もいない。
そんな女性が、全く言葉の通じない、異世界に放り出され、あろうことか現地の人々に少年と間違われて、過酷な運命をたどることになる。
彼女の強みは、持っていたバッグが、元の世界の自宅につながっていたことだった。バッグから手を伸ばせば、一人暮らしをしていたアパート内を自由に移動して、部屋にあるものを自由に取り出すことができるし、パソコンでインターネットを使うこともできる。
異世界の暮らしが続くうちに、言語も覚えて、親しい人々も増えていくけれども、なぜか国政の中枢に近い人とばかり知り合うために、次から次へと国家がらみのトラブルに巻き込まれてしまう。
その度に、「アラフォーなめんなぁ!」と心なのかで自分を鼓舞しながら、元の世界で培った知識や経験、ネット情報や通販まで駆使して、大切に思う人々を守り抜く。
作中の決まり文句として頻繁に出てくる「アラフォーなめんなぁ!」という掛け声は、最初のうちは、異世界物にありがちなチート臭をまとった薄っぺらいものに思えて、いささかうっとうしかったのだけど、お話が進んで主人公の内面の葛藤が深まるにつれて、次第に出現頻度が下がり、ラストあたりでは、血のほとばしる決めゼリフになっていた。
バッグで元の世界(自宅やネット環境)と繋がり続けていたため、主人公は異世界に骨を埋める覚悟がどうしてもできなかった。だから、異世界で自分に思いを寄せる人々と出会って、限りなく恋に近い思慕の心が生まれても、その相手との将来を考えることが難しかった。
最終的に元の世界に帰ることを選んだ主人公の「その後」は、「小説家になろう」版では、かなり中途半端な形になってしまった。簡単にいうと、日本に戻ってから、「生物学上の父親」と「戸籍上の父親」と「実質的な父親」をそれぞれ別に持つ子どもを生んだのだ。
どの「父親」も、主人公を愛して支えることを望んでいたので、当事者たちには不満はないのだと思うけれども、読者によっては、こういう決着のありかたに、嫌悪感を持つ人もいるのじゃないかと思う。
とはいうものの、過酷な異世界に骨を埋める覚悟で恋に飛び込む勇気を持てなかった主人公に、罪はないし、物語の中での彼女の決断も間違いではなかったと思う。元の世界と中途半端につながったまま、戦火や悪意に怯える心で異世界に残って結婚しても、愛する相手を苦しめる結果になると主人公は考えたのだから。
でも、なかなか割り切れない人生だろうなとは思う。
書籍版のラストがどうなったのか気になる。いつか読む機会があれば確かめてみよう。