教授によるブーメランなアカハラ
朝からイヤなニュースを見た。
学生を「あんたは発達障害だよ」と決めつけ、論文執筆能力がないと言ったり、論文の研究データを「捨てろ」と言ったり、ゼミ変更を強いたりという、いかにもなアカハラ案件だけど、この訴えられた教授の驚くべき点というかダメすぎる点は、自身が発達教育の研究者であり、
「注意集中困難・多動性発達障害児の発達支援と学校適応に関する臨床発達心理学的研究」
という研究を、わざわざ科研費を貰って行っている人であったということだ。
自分が「発達障害」と認めた学生の支援を拒否して学校適応を阻害してどうするのだ。(~_~;)
論文執筆能力がない学生に「論文執筆能力がない」と宣告することは、場合によっては必要なこともあるかもしれない。
けれどもその場合であっても、学生に「あんたは発達障害だよ」と伝える必要はあるだろうか。
(ただしアカハラ被害にあった学生は、発達障害ではなかったと記事には書いてある。)
だいたい、発達障害が疑わしい大学の先生なんて、山ほどいるのだ。
とくに自閉圏内の可能性がある人は、研究者には多いはずだ。
アインシュタインが自閉症であったと推定され、エジソンがADHDであっただろうというのは、いまではよく知られた話だ。この教授にはそういう知識がなかったのだろうか。
なにはともあれ、記事を読んだ限りでは、この教授自身が、論文のデータを捨てて研究を撤回すべきであると思われる。
┐(´~`)┌
教授とロマンス
昨日の日記でハーレクイン系の作品をよく読むと書いた。
んで、ヒロインの彼氏(このジャンルではヒーローと呼ばれるらしい)になる人物はほとんど例外なくセレブで大金持ちで美形であるとも書いた。
なぜだか分からないけれど、大学教授や研究者が彼氏(ヒーロー)になる作品には、滅多にお目にかからない。
ごくまれにあるけれども(その場合はとんでもない変人か世捨て人的なキャラとして登場する)、その教授や研究者の数は、アラブの大富豪やヨーロッパの架空の王族よりもだいぶ少ない印象である。
敵役となる教授の事例はわりと見つかる。
ヒロインを大学内でたぶらかして捨てたり、妊娠させて放り出したり、ヒロインの研究データを盗用するロクデナシとして、それらの教授は登場する。さんざんな扱いだ。
ハーレクイン的な人物評価の体系では、大学教授や研究者は、ヒーローにふさわしいセレブではないらしい。
そんなわけで、私の場合、ヒーローが研究者の作品として、真っ先に思い浮かぶのは、ハーレクインの諸作品ではなく、「マイ・フェア・レディ」だ。
My Fair Lady - Audrey Hepburn - The Rain In Spain スペインの雨
うるわしいオードリー・ヘップバーンが演じるヒロイン、イライザは、下層階級の娘であり、とんでもなく言葉が汚いために、貴族階級の言語学者のヒギンズ教授に目をつけられ、言語教育の実験材料として自宅に引き取られる。
そこで上流階級の美しい英語をたたき込まれたイライザは、王族との対話でも引けを取らないほどに洗練され、自分の成長を見込んで教育してくれたヒギンズ教授に恋心を抱く。
けれども、教授はそんなことには全く気づかない。
ついでにイライザが人格が備わった女性であることすら、もとから念頭になかったらしく、自分の「成果」に大喜びして親友と飲み明かし、イライザと喜びを分かち合おうともしない。
そのことに怒ってヒギンズに食ってかかるイライザの気持ちなど、まったく理解できず、困惑し逆ギレするありさま。
まあ、いいトシになるまで独身で女っ気の全くない暮らしをしていたらしいヒギンズ教授だから、女性蔑視云々以前に、とんでもない朴念仁だった可能性も高いだろう。
そんなこんなで、居場所のなさを感じたイライザは、教授の下を去る。そして・・・
いちおう、ラストではお互いの心が通じ合ったことを示唆する場面があるけれど、ラブラブのアツアツになる可能性は低いと思われる。
ヒギンズ教授、いまならアカハラ、セクハラで盛大に訴えられかねない。
本人の同意があったとはいえ、家に連れ込んで秘書みたいな仕事をさせて、ヒマさえあれば発音の特訓、人格無視の皮肉や罵詈雑言三昧、「成果」があがるとドレスを着せて社交場へ連れ回し・・・だいぶアウトだ。
ああそうか、「教授」だの「研究者」だののイメージは、欧米ではヒギンズ教授みたいなド偏屈の変人タイプが中核にあるのかもしれないな。そりゃハーレクインのヒーロー要員にはなりにくいわ。
でも、この映画、大好きだったなあ。
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Amazonビデオで見られるようだ。
ひさしぶりに、見てみようかな。
とはいえ、イライザとヒギンズ教授の年の差、かなりありそうではある。
映画では、ヒギンズ教授はどう見ても五十代かそれ以上、イライザは二十代前半に見える。
原作「ピグマリオン」では、どういう設定だったんだろう。
おや、バーナード・ショーの「ピグマリオン」が、Amazonの Kindle読み放題で、読めるようだ。光文社の古典新訳文庫。さっそくDL。