湯飲みの横に防水機能のない日記

色々壊れてて治療中。具合のよくないときに寝たまま携帯で書くために作ったブログです。ほんとにそれだけ。

家庭保育室体験入室

いま、息子(5歳・重度自閉症)は保育室にいっている。今日が初登園である。

 

今日は二時間だけの滞在予定。慣れるまでショートステイ、ということで取り決めたのだが、いったいいつ慣れるものやら、まったく見当がつかない。

 

先週、はじめてつれて行ったときは、慣れない場所におびえて大泣きした息子だが、今日はもう覚えていて、やる気まんまんで乗り込んでいった。入ったとたん、おおはしゃぎして跳ね回り、走りまわり、たった一人で十人分の騒動を引き起こした。

 

他の子供たちはというと、並べたテーブルの前にきちんと座って、じつに静粛に、おやつをいただく準備をしていた。

 

そのあまりの落差に、思わず気が滅入りそうになったものの、こんなことはあらかじめ予想していた状況の一部にすぎないと思い直して、背筋を伸ばした。すると子供たちのなかの、比較的年長の男の子が、

 

「あ、こないだきた、おにいちゃんだね。おやつはね、いただきますをしてからでないと、たべられないんだよ」

 

と息子にむかって教えてくれた。もちろん息子は聞いちゃいない。そもそもおやつを食べる気なんか、ないのである。みんなの前に並んだお皿やコップに、息子の食べられるものは見当たらなかった。

 

大喜びではじけきった息子の様子をみた保育士さんは、苦笑の気配もみせず、

 

「ちょっと大変そうだったら、一時間に短縮させていただきますねえ~」

 

と、私にむかって明るく告げた。プロである、と思った。

息子の様子が気になって、「あの、ちょっとだけ、十分だけでも、ここで様子をみてもいいでしょうか。あのそれとも、やっぱりいないほうがいいでしょうか」と遠慮がちに聞いてみたけれど、

 

「いないほうがいいです。他のお子さんたちも、みんなお母さんがいないんですから」

と、にっこり断言されて、園の外へと押し出された。

 

すごすごと、しおしおと、うなだれ気味に、私は一人で帰宅した。


( _ _ ).。o○


いま、息子を預けてから、ちょうど一時間がたったところである。いまのところ、園から「大変だからお引取りお願い」の電話はきていない、と思う。

 

なぜだか知らんが、こんな日にかぎって、あちこちから、やたらと電話がかかってくるのだ。

 

電話が鳴るたびに「うわ」とか「げっ」とか声に出してしまい、自分の小心ぶりを確認するハメになる。半年に一回も来ないFAXまでくる。すっかり劣化した巻紙に印刷されて出てきたのは誰かの告別式の場所の地図。

 

体調が悪いから息子のいないあいだに病院で診察でも、と思ったのだが、とてもそれどころではない。

 

もしかしたら、今日一日の「おためし」で、見限られて、以後の利用はお断り、となる可能性だってある。


さてどうなるか。
続きは次回。


(2003年1月20日)
※過去日記を転載しています。