昨日のつづき。
通園初日の息子(5歳・重度自閉症)は、やっぱり、それなりに「大変」だったらしい。お迎えのときに、先生の報告をうけた。
入室後、一時間ほどたったところで、何かを探すように、園内のドアを全部あけてまわろうとしたという。玄関に通じるドアは、危険だからあけられないのだが、そこをどうしてもあけようとして泣き叫んだ、とのこと。たぶん、私を探していたのだと思う。
家にいるときも、私が買い物に出ていたりすると、そうやってドアをあけまわって探索することが、よくある。まるで「夏への扉」というSF小説にでてくる猫のようである。真冬の家のなかで、どこかのドアが夏に通じていると信じて、いつまでも探索をつづける猫。
それでも昨日は、私が迎えにいく頃までには落ち着いていて、ほかの子供たちにまじって、ままごと遊びをしていた。私の顔をみると、にっこりわらって立ちあがり、園を出るときには、みんなにむかって、誰にうながされるでもなく大きな声で、
「ばいばい」
と言った。これは、うまれてはじめてのことである。
さて、今日の園での息子は、先生によれば、
「昨日よりはだいぶ落ち着いてました」
とのことだった。昨日のお迎え時には、先生方はなんだかぐったりしていたけれど、今日はにこやかだった。
それで明日からは、少し時間を長くしてみましょう、ということになったのだが、迎えにいったとき、息子は金切り声で、
「なんなんだー」
と叫んで、泣いていた。窓のブラインドかなにかをいじろうとして先生にとめられ、カンシャクをおこしていたところだったらしい。それでも「帰ろう」と声をかけると、私のところにきた。カンシャクは、園の玄関で靴をはくころには、あっさり収まっていた。
(2003年1月21日)
※過去日記を転載しています。