コンビニが自分の生活の中に出現したのは、大学生の時だった。
真夜中に、あの灯りを見つけると、何を買うでもなく立ち寄ってしまうという学生が、私以外にもたくさんいた。
寄る辺なく夜更かしをするダメな若者を引き寄せる、誘蛾灯みたいな存在。
それがいつの間にか、街に必須の施設になってる。
チケットを取ったり、プリペイドカードに入金したり、切手やハガキを買ったり。
お昼になると、念入りにお弁当を選んでるお年寄りを、よく見かける。
子供たちが不審者に追われた時の投げ込み場所としての機能もあるようだ。
街のケーキ屋さんが消えて、コンビニのスイーツがどんどん豪華になってる。クリスマスにはホールケーキだって売られる。
ナマモノも、ずいぶん置くようになってる。
品数というか、売り物のジャンルは、ずいぶん増えた。
いまのところ服(下着を除く)と靴は売ってない。ああいうものは売場の場所を取るし、ずっと売らないだろうという気がする。
あ、でも、
手のひらに乗るサイズのカプセルに収納された防寒用上着
みたいなのが開発されたら、どうだかわからない。
極薄だけど保温効果抜群、みたいな。
カプセルから出して空気に触れさせつつ足になじませるうちに、それなりの強度を持ったジャストフィットなシューズになる
みたいな商品も、コンビニ的かも。
そんなの売り出されたら、コンビニの誘蛾灯効果、ますます高まりそう。