1つ前の「ねこたま日記」を書いてすぐ、入院中の長女さんの主治医から電話がきた。
いつもは亭主が電話に出るのだけど、たまたま家電のあたりを掃除していたので(歩いているカツオブシムシを発見してギャーーとなっていた最中でもあった)、亭主を呼ぶまでもないと思って私が出た。
主治医によると、長女さんはすっかり落ち着いて、状態もよく、本人は退院と再就職を強く希望しているという。
もしかして一心不乱の大掃除の効果があったのかしらと、一瞬バカなことを思った直後に、そんなはずはないと思い直した。
まだカツオブシムシが床を歩行している状況で、健康運アップも何もあったものではない。私は落ち着くべきである。
入院当初の予定では、長女さんの入院期間は2ヶ月ほどと言われていたけど、電話での主治医の話しぶりでは、もう少し早まりそうな様子だった。
ほんとうに良くなったのだろうか。
入院直前、亭主と二人でかかりつけのクリニックを受診したあと、長女さんは「あんな家に帰れるか」と言って、ネットカフェに行ってしまった。そのまま帰宅しなかったため、入院の当日、ケアマネさんがネットカフェまで迎えにいって、病院に連れてきてくれたのだ。
あれほど「帰りたくなかった家」に、すんなり帰りたい気持ちなるものなのか。
ネットカフェ滞在中、長女さんは亭主にLINEで「退院後はグループホームに入れるよう手配を頼みたい」と言ってきたと聞いている。
そうしたことが心に引っかかるので、いまの長女さんの意向を主治医に聞かずにはいられなかった。
「あの、本人は退院して自宅に帰るつもりでいるのでしょうか」
「退院するんだから、そういうことだと思いますけど」
「入院直前、退院後はグループホームへの入居を強く希望していて、親にもそう話しています。本人の中では、自宅に帰ることをぜんぜん想定していない可能性があります。確認をお願いします」
私の言葉に主治医は戸惑っていた様子だったけど、長女さんは自閉症である。それはいわゆる「普通」や「当たり前」が全く通用しないということでもある。
以前から自閉症(自閉スペクトラム症)という診断は出ていたけど、今回の入院後に行った「文章テスト」なる検査でもそう判断されたと、今日の電話で主治医が話してくれた。
診断など出るずっと前から、長女さんとはコミュニケーション上の問題がよく起きていた。言葉は通じるのに、意図を理解されなかったり、こちらが長女さんの意図をつかみそこねることがあるのだ。
常識的にそう考えるのが「普通」だろう、ということが、長女さんには通用しない。そもそも母親の私も自閉症の可能性アリのADHDと診断されたすっとこどっこいだったりするので、家族間、母娘間での「通じなさ」には、さらに想定外のねじれが入ることもある。要するにわけがわからなくなる。
だからこそ、確認が大事だと考える。
もしも長女さんが「退院後すぐにグループホームで暮らせる」と考えた上で退院を希望しているのだとして、その確認なしに退院日を迎えてしまったりしたら、お互いに大変不愉快な混乱が起きるのは間違いない。
ゆくゆくはグループホームを利用するとしても、退院直後にそのまま入居というのは、全く現実的ではない。長女さんの入院時に大変お世話になったケアマネさんは、某コロナで自宅療養中っぽい感じの「不在」のお知らせがあって以来、まだ「復帰」の連絡がない。無事に「復帰」されたとしても、あるいは別の福祉事業所のケアマネさんに相談するにしても、長女さん本人の意向や状況がはっきりしないうちは、動きようもない。
長女さん本人は再就職を希望しているそうだけれども、主治医は長女さんの性格や病気の性質を考えた上で、病院内にあるデイケアのゆるやかな利用を勧めているという。デイケア通所のための大型バスは、我が家の前を経由している。
主治医は来週あらためて長女さんと話すつもりであると言っていた。どういう方向に話が進むのか分からないけど、退院の目処が立つなら、自宅に帰ることになるだろう。
となれば、掃除の完遂を急がなくてはならない。
帰ってくるのであれば、長女さんの神経を圧迫するようなストレスフルな汚部屋の片鱗など、ほんの少しも残しておきたくはない。
(_ _).。o○
というわけで、主治医との電話を終えた後、大掃除を続行した。
居間の家具の下や裏側の徹底掃除。
同じく和室の掃除。
結果……
生きてるカツオブシムシの幼虫6匹。
死んでる幼虫2匹。
抜け殻1個。
ダメだ。
ダメすぎる。
抜け殻があるということは、既に成虫になってしまった個体がいるということだ。
そいつは我が家のどこかで今ごろ40〜90個の卵を産んでいるかもしれないのだ。
(;_;)
北側の一室、元書庫であり長女さんの自室でもあった部屋は、いまだに床の半分が物で埋まっている。
整理整頓と不用品の処分、がんばろう。