題しらず よみびとしらず、
木の間よりもりくる月の影みれば心づくしの秋は来にけり
古今和歌集 巻第四 秋上 184
古語の「心づくし」は、心を使い尽くす、力を出し切るという意味だという。
現代語だと、細やかな配慮、気配りといった意味になるけれど、古語ではそういう意味合いはないようだ。
【てきとー意訳】
また秋が来ちゃったよ……
重なり合った木の枝の隙間から漏れてきてる、あの月の光がね、もうね、ほんと、凶兆に見えてくるよね。
縁起でもないことを言うなって?
じゃあ聞くけど、いままで生きてきて、秋にいい思い出って、あった? ないでしょ?
失恋するのは決まって秋だし。
飽きちゃうか、飽きられちゃうかして、あとはもう、厳寒の冬を待つばかりってね。
そりゃ秋に芽生える恋もあるよ。
誰も彼も、人恋しくなる季節だし。
だからこそ、恋のともしびが消えないように、ハラハラと気を揉むことになるわけだ。ほんと、疲れるよね。
え?
色恋沙汰より、絢爛豪華な紅葉の景色を見逃さないほうが大事だって?
だとしても、結局気を揉むじゃない。あー、やだやだ。鬱陶しい。
まあ、嫌だっていっても、もう秋は来ちゃってるし。
せいぜい今年も、終わりの始まりを堪能することにしようかね。