湯飲みの横に防水機能のない日記

色々壊れてて治療中。具合のよくないときに寝たまま携帯で書くために作ったブログです。ほんとにそれだけ。

「鎌倉殿の13人」(35)苦い盃

 NHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」第35回「苦い杯」を見た。

 

頼家が亡くなるまで非常に影の薄かった(出てこなかった?)平賀朝雅が、悪役として一気に躍り出てきて暗躍する。

 

平賀朝雅源義光の子孫で(清和源氏義光流)、頼朝の猶子でもあったという。

 

その上、北条時政とりくの娘の夫でもあるわけで、考えようによっては、鎌倉殿にも執権にもなる可能性がある人物、ということになる。

 

ドラマでは描かれていなかったけど、平賀朝雅は、実朝が鎌倉殿になった直後、京都守護として都に派遣され、平氏残党の反乱を鎮圧するなどの功績を上げたために、御家人でありながら、後鳥羽上皇に重用されるようになっていたのだという(Wikipediaによる)。

 

そんな有能そうな人には見えなかったけど。(´・ω・`)

 

あ、でもこの時の朝雅は24歳だったそうだから、期待の新人という感じで光り輝いていたんだろうか。

 

でも24歳にも見えなかったような……なんなら畠山重忠(42歳)と同世代くらいに見えたような気もす……

 

深く考えないことにしよう。

俳優さんの演技はすごくいいと思うし。酷薄で裏表ありまくりな感じが。

 

なんにせよ、朝雅が源氏贔屓の後鳥羽上皇に重用されていたのなら、鎌倉を牛耳りつつある北条氏を上皇が良く思っていないことは当然知っていただろうし、朝雅自身も、婿として時政夫婦の意向に従って義弟の政範を北条氏の嫡男として盛り立て、北条の血を引く実朝に仕えるだけでは、気持ちがおさまらない部分もあったかもしれない。

 

ドラマの平賀朝雅は、政範を都であっさり毒殺し、畠山重忠の嫡男重保に濡れ衣を着せていた。

 

史実ではどうだったのか分からないけど、確かに都での政範の急死は不自然だし、動機が十分にある朝雅による毒殺というのは、ない話ではないように思えた。

 

最愛の息子を失ったりくは狂乱し、なんとしても畠山父子を滅ぼせと時政に迫り、なんだかんだで時政も乗ってしまう。

 

ドラマの時政は極端な愛妻家で恐妻家だから、妻に押し切られて戦を起こしても不思議じゃないけれども、現実にそんな武将がいたら、面白すぎて不自然だ。

 

かつてドラマの中の時政は武士にとって一番大事なのは領地だと言い切っていた。

 

畠山重忠だって、武蔵国の自分の所領を時政から守るために死を覚悟して戦う姿勢を見せているのだから、時政の本当の動機も、きっとそこにあるのだと思う。

 

領地問題が絡むと、姻戚関係も身内の情も消し飛んでしまうという現実を、盃とともに畠山重忠に突きつけられた義時は、さぞ苦い酒を味わったことだろう。

 

(_ _).。o○

 

御家人たちのきな臭い状況について、若き鎌倉殿はほとんど知らされていなかったのだろうか。

 

内向的な性格らしい実朝は、都から迎えた高貴な妻に親しみを持てないらしく、裏表のない和田義盛を慕って会いに行き、水炊きっぽい肉の鍋をご馳走になって、くつろいでいた。

 

その義盛に誘われて、怪しい巫女(あとから大竹しのぶだと知って驚愕した。全然わからなかった)に引き合わされ、雪の日に出歩いてはいけないと言われる。

 

実朝が暗殺されるのは冬なので、もしかしたら雪の日だったのかもしれない。

 

政子に書き写してもらった歌集を読み込むうちに、実朝は和歌への傾倒も深めていく。

 

実朝が特に心を惹かれたのは、父頼朝の歌だった。

 

前右大将頼朝 

 

道すがら富士の煙もわかざりきはるゝまもなき空のけしきに

 

この歌は、「新古今和歌集」の巻十「羈旅」に載っている。

 

政子が実朝にこの歌の解釈を聞かせるときに、あの富士の巻狩りの場面が回想されていた。

 

曽我兄弟の仇討ち騒ぎで危うく殺されそうになったばかりか、騒ぎに便乗した弟の範頼の謀反(濡れ衣)騒動などもあり、心がかき曇る一方で、晴れるゆとりもなかった頃だ。

 

そんな憂鬱な心情を詠んだ父の歌に、実朝は、自らの思いを重ねたのかもしれない。

 

 

 

(_ _).。o○

 

毎度楽しみにしている歴メシネタだけど…

 

今回は、都での豪華宴会料理に毒が盛られて死者が出るという、食べ物好きには許し難い展開だった。( *`ω´)凸

 

平賀朝雅は、焼き物の小さな壺に入った毒を、汁物に混入したらしい。毒を手配した人物によると、味がないので悟られることはないという。

 

毒を盛られた北条政範は、食事の最中に倒れて亡くなっていたから、かなり即効性のある毒だったのだろう。

 

何の毒だったんだろう。

 

すぐに思いつくのは、トリカブトだ。

 

トリカブトは、ニリンソウと間違えておひたしにして食べてしまうことが多いそうだけど、味について書かれている記事は見つからなかった。味が分かるほど食べたら死ぬということかもしれない。

 

朝雅に毒を渡した人物は、どうやって味がないことを知ったのだろう。いろいろ想像すると、ちょっと背筋が寒くなる。:(;゙゚'ω゚'):

 

厚生労働省のホームページで、「自然毒のリスクプロファイル」として、トリカブトが紹介されている。

 

中毒症状

口唇や舌のしびれに始まり,次第に手足のしびれ,嘔吐,腹痛,下痢,不整脈,血圧低下などをおこし,けいれん,呼吸不全(呼吸中枢麻痺)に至って死亡することもある。 致死量はアコニチン2~6mg

 

発病時期

食後 10 ~ 20 以内に発症することが多い 。

自然毒のリスクプロファイル:高等植物:トリカブト

 

「食後10〜20」の単位が書かれていないけど、たぶん「分」だろう。「秒」では短すぎるし、「時間」だとすでに食後とは言えない。

 

まだお膳の上の料理がたくさん残っているうちに、ほとんど声も出さずに崩れ落ちるように倒れていた政範の症状にも、ある程度合致するように思う。

 

ただ、朝雅は毒を「汁に溶かせばいいのか」と言っていた。ということは、トリカブトだったとしても、植物そのままの形ではなく、それを液状、もしくは乾燥するなどして粉末状に加工したものだったのかもしれない。

 

猛毒のトリカブトだけど、切り花として普通に売られているそうで、Amazonで種子も販売していた。恐ろしいので商品リンクは貼らずにおく。