かなしみ
あの青い空の波の音が聞こえるあたりに
何かとんでもない落とし物を
僕はしてきてしまったらしい
透明な過去の駅で
遺失物係の前に立ったら
僕は余計に悲しくなってしまった
「そらの青さをみつめていると 谷川俊太郎詩集I」
学生時代は、谷川俊太郎の詩を読んでみても、あまり心に響かなかった。
子どもたちが生まれてから、国語の教科書などで子ども向けの詩に触れる機会が増えてきて、それに感動したというのではないけれど、中毒性があるというか、なぜかいつまでも記憶に残った。
いまの年齢になって、「透明な過去の駅」が、遠くに見えるようになった。
こんな駅があることを若いうちから知ってしまう人生は、すこし恐ろしいけれども、老いてから知るのも、十分つらいことではある。
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