岡本綺堂。
兎にかく江戸時代には池袋の奉公人を嫌うとは不思議で 、何か一家に怪しい事があれば 、先ず狐狸の所為といい 、次には池袋と云うのが紋切形の文句であった 。
「池袋の怪」
麻布にあった某藩邸の怪異について語っている掌編。
やたらと蛙が座敷に上がる、轟音とともに屋敷が揺れる、座敷に石がバラバラと降ってくるなど、現代だったら、クソ物件オブザイヤーにノミネートされそうな藩邸だったけれども、池袋出身の下女をクビにしたらおさまったという。
池袋はもともと湿地帯で池が多く、地名の由来は、袋のような形の池があったからなんだとか。
いまは大都会だけれども、江戸時代には怪異と結びつけたくなるような景色の広がる土地だったのだろうか。