4月8日(水曜日)
父の入院先のソーシャルワーカーさん(と思われる人)から、電話をもらった。
父の転院が4月13日に決まったので、転院先の候補のなかから、希望する病院を選んで欲しいという。
候補として挙げられた病院は、二つ。
一つは豊かな自然に囲まれた新しい病院。
もう一つは、繁華街に近い病院。
どちらも実家からはそれなりに距離がある。タクシーだと、4000円前後かかりそうだ。
最初の病院は、Googleの地図で周辺をみたら高速道路のインターチェンジと墓場しかなかったので、繁華街のほうにしてもらった。
ソーシャルワーカーさんに、父の容態について聞いてみた。
「意識はあって、意思疎通もおできになっているようで、『家内も入院してる』というようなお話をされているとうかがってます。嚥下のためのリハビリも、少しですが始められていて、『これなら食べられる』というようなことも、話されているようですよ」
前日に面会したとき、父は、自分が置かれている状況を、全く理解できていなかった。
一日たって、病状(肺炎、胸水、体動および発語困難)が、どれくらい回復したのかは分からいけれど、意識がしっかりあるというのは、大きな希望のように思われた。
電話のあと、少し食欲が戻ってきたので、冷凍してあった鶏もも肉で、一人水炊き鍋をして、しっかり食べた。
4月9日(木曜日)
午前中、新聞販売店に電話して、実家で取っている新聞を止めてもらった。
午後、タクシーで父の入院の病院に行き、面会した。
父は眠っていた。
鼻呼吸がしにくいのか、少し不自然なくらい口を開けて、荒い呼吸音をたてている。
たった二日会わずにいただけで、顔がずいぶんやつれたようにみえた。
父に声をかけても目覚める様子がないので、看護師さんに、普段の父の様子を聞いた。
一日のほとんど眠っていて、意識のある時が少ないらしい。
病状などについて、父には一通り説明はしているけれど、反応がないので、理解しているかどうかは分からないという。
嚥下のリハビリについて聞いてみると、しっかり覚醒できない状態では誤嚥の危険が高いため、行っていないと言われた。
ソーシャルワーカーさんから電話で聞いた話と、全然ちがうのは、なぜなのか。
看護師さんも、同じ人がずっと父を見てくれているわけではないのだろうから、たまたま悪い状態の父しか見ていないということもあるのかもしれない。
帰り際、もう一度、父に声をかけてみたら、今度は私に気がついてくれたようで、ベッドの手すりをつかんで、少し慌てたような様子で体を起こそうとした。けれども起き上がることはできず、また目をつむって眠ってしまった。
父に「また来るね」と声をかけて、病室を出た。
病院でタクシーを呼び、実家近くのスーパーまで乗せてもらった。
スーパーでお弁当でも買おうと思って売り場を回ったけれども、何を見ても食欲が全くわかない。唯一喉を通りそうに思えたカルボナーラと、クリームが乗ったコーヒーゼリーを買って、帰宅。
愛用のスマートウォッチの電池が切れそうになっていたので、充電器を探したのに、みつからない。
数時間かけて、掃除も兼ねて徹底的に家探ししたのに、どこにもなかった。
仕方がないので、Amazonで充電用コードをポチッた。😭
4月10日(金曜日)
朝8時過ぎ、剥離骨折をした指を見てもらうために、バスに乗って整形外科へ。
レントゲンの結果、腱ごと剥がれてしまった骨は、全くくっついておらず、指の関節の間が開いてきてしまっていることが分かった。
添木をして、できるだけ動かさないようにはしていたけれど、父が家にいた時は家事をやらないわけにはいかなかったから、完全に固定はできていなかった。
骨と腱がくっつかなければ、自力で指をまっすぐ伸ばすことができなくなるらしいのだけど、固定したままというのもまずいらしいので、少しずつリハビリすることになった。
日中は添え木を外して、指先を少し動かす練習をする。夜寝る時は、添え木で固定する。
次の受診は、二週間後ではどうかと言われ、少し考えた。
父の病状が安定したら、一度自宅に戻ろうと思っていたけれど、現時点では全く先が読めない。介護保険の認定見直しの件もある。
二週間後も実家にいる可能性が高そうだと思ったので、予約を入れることにした。
病院の帰りに、少しだけ街を歩いた。
お昼になったので、食欲はなかったけど、マックに入ってチーズバーガーセットを食べた。
その後、本屋さんに立ち寄って、本を二冊購入。
オスタップ・スリヴァンスキー、ロバート・キャンベル「戦争語彙集」(岩波書店)
スチュアート・ウィルソン「百十三代目の司書見習い」(東京創元社)
実家にいる間に、少しは読めるだろうか。
4月11日(土曜日)
実家に来て、そろそろ一か月になる。
両親の入院と自分の骨折で、入浴してもヘアケアどころじゃなかったため、髪の毛がボッサボサで、凄まじいことになっている。しかも白髪が一気に増えた。
鏡を見るたびにげんなりして気分が落ちるので、美容院に行くことにした。
今時の美容院はネット予約が当たり前だけど、そこのお店は「ネット予約はできません」と紹介サイトに明記していて、レビューにも、「一時間くらい待つ場合があります」と書かれていた。その今時じゃない感じが気に入ったので、そこに決めた。
営業開始直後にお店に着いたけど、すでに先客が五人いた。
1時間半ほど、読書しながらのんびり待って、背中の真ん中辺まで伸びていた髪をばっさり切ってもらい、ヘアサプリとヘアカラーをしてもらった。
見た目の年齢が大袈裟ではなく20歳は若返った気がする。来てよかった。
スーパーでお弁当などを買って帰宅すると、門の扉が開けっぱなしになっていて、駐車場にトラックが止まっている。
トラックのそばにいた人に声を掛けると、実家の庭の手入れを請け負っている造園業の人だという。月に一回、草刈りや庭木の世話をしに通っているのだけど、いつも必ず家にいる両親が留守で、買い物に出たにしては帰ってくる様子もないから、どうしたのかと心配していたという。
両親が入院してしまって、家に帰ってくる目処がたたないことを伝えて、当面はこのまま庭の世話をお願いすることにした。契約の更新は九月だそうなので、今後のことはその頃に考えることにして、連絡先を交換した。

