Xなどで、とんでもなく酷評されているのは知っていた。
でも原作漫画が大好きで、松山ケンイチをはじめとした出演俳優さんたちもみんな好きなので、観に行ったのを後悔することはないだろうし、たとえどんなにつまらなくても、そのつまらなさをも楽しめるに違いないという、謎の自信と覚悟とを持って、観に行った(大袈裟だけど結構本気)。
で、どうだったかというと…
原作漫画への深い愛着と、出演俳優さんたちへの尽きることなき好感と、シナリオや演出やアドリブがいかに滑って絶対零度の寒さを醸し出していても、薄っすらと微笑んでいられるような、海よりも深い寛容さを持った人だけが、劇場に見にいくべき映画だと思った。
そうでない人は、いずれアマプラで公開されたときに観て、散りばめられた小ネタを拾って楽しむことをお勧めしたい。
たとえば、山田孝之が演じた、特筆すべき出来事がほとんどないまま人生を終えた人が死に際に見る「走馬灯」のシーンは、コントみたいでちょっと笑った。
ブッダたちの部屋に飾られているカンダタのぬいぐるみは、すごく可愛かった。福引で当ててしまった等身大の仏像は、なんだか目つきが悪かった。原作漫画みたいに、彼らも喋ったりしないかなーと期待したのだけど、残念ながらセリフはなかった。
台本無しのアドリブで、九分間もスベり続けた神(佐藤二朗)は、心の底から気の毒だった。
ラストでルシファーになった藤原竜也がデスノート持って出てきた時は、さすがに吹いた。
他にも、細々とした面白いシーンはたくさんあった。
アマプラで公開されたら、もう一度、じっくり細部を噛み締めて楽しもうと思う。