こんにちは。
今日は通院等の予定がないので、推しぬいと一緒に、午前中から古典に没頭している。
今日のミッションは、「宇津保物語」から、笛の音色を詠んだ和歌を見つけ出すこと。
雅楽といえば、横笛や篳篥、笙の笛の印象が強いけれど、笛を詠んだ和歌はかなりレアだったりする。
万葉集には三首あるけど、軍隊を整列させるために吹く小角(くだのふえ)の歌と、鹿狩りの時に吹く鹿笛の歌、食用の蟹が笛吹きになることを夢想するという歌で、音楽として奏でられている笛の音の歌は無かった。
他の勅撰和歌集では、ぽつぽつ見つかったけれど、笛の調べではなく、贈答品や遺品としての笛についての歌などの歌が多かった。
「源氏物語」の「横笛」の巻では、亡き柏木の遺品の横笛を、彼の親友だった夕霧が、柏木の未亡人から譲り受けて吹く場面があり、笛の歌も詠まれているけれど、笛の音色に故人を偲びつつも、柏木の未亡人とどうにかなろうとする夕霧の邪念(?)が背景として見えているので、笛がメインの歌とは言い難い。
「とりかえばや物語」では、主人公である男装の少女が笛の名手であるという設定があるので、笛の歌が詠まれていないかと、講談社学術文庫版の一巻と三巻を見てみたけれど、残念ながら見つけられなかった。二巻目が家の中で行方不明なので、発掘され次第、確認しようと思う。
「更科日記」では、笛の歌を二首見つけることができたので、いずれご紹介しようと思う。
で、「宇津保物語」である。
この作品は、清原俊蔭という伝説的な琴の名手が、波斯の国(ペルシャらしい)から持ち帰った秘蔵の琴にまつわる物語なので、楽器演奏の場面がたくさん出てくる。
メインは琴だけれども、琵琶や笛と合奏されることも当然あるので、笛の音色を詠んだ歌があることを期待して、岩波古典大系本全三巻の二巻目まで目を通したのだけれども……
琴や笛、琵琶など、楽器の名手たちが集った宴会で、見事な演奏が行われている場面があり、和歌もたくさん詠まれているのに、なぜか笛はスルーされていた。😭
あと一巻残っているので、これから確認しようと思う。
(_ _).。o○
声楽家のお友達が、和歌に曲をつけて歌うという素敵なプロジェクトをしていて、今回の笛の歌の捜索は、ささやかなお手伝いでもある。
以前にも、私が選んで【怪しい意訳】をつけてご紹介した和歌を、歌っていただいている。
お友達の歌声の魅力としっくりくる歌を選びたいので、妥協せずにできる限り広く探すようにしているのだけれど、毎度自分の古典、歴史方面の基礎教養のなさに阻まれて、悪戦苦闘している。
老眼でも弱視でもなかった学生のころに、もっとしっかり読んでおけばよかったと、つくづく後悔しているけれど、5年後、10年後に同じ後悔をしたくないので、いま出来ることは惜しまずにやろうと思う。