湯飲みの横に防水機能のない日記

色々壊れてて治療中。具合のよくないときに寝たまま携帯で書くために作ったブログです。ほんとにそれだけ。

ネット小説読書メモ

小説家になろう」で読んだ作品の感想。

 

魅力的な物語を無料公開で読ませて下さる作者様がたに、心から感謝しつつ…


「騎士の浮気は当たり前〜10年間浮気してた相手と別れた翌日妻に捨てられた俺の話〜」(おてんば松尾 著)

https://ncode.syosetu.com/novelview/infotop/ncode/n3917jq/

 

妻を愛しているといいながら、家庭を顧みることなく若い女と十年もだらだらと浮気をしていた男が、妻子に復讐されて、ガッツリ全てを失うお話。

 

夫を完全に見限って、離婚の覚悟を決めた妻の行動が、怖いほど隙がない。

 

長年の妻の苦しみに気づいた夫が、結構本気で反省して改心を誓うのだけど、僅かばかりの希望をチラ見させながら、結局どこまでも容赦なく追い詰めていく妻。夫視点だと、ホラー並に恐ろしい。

 

夫婦には、魔法の得意な双子の子どもがいるのだけど、彼らの役割も凄まじかった。

 

自分たちの目の前で不倫相手に刺殺される父親を、何度もタイムリープさせるのだ。子どもたちとしては、ゴミ虫みたいな父親でも死なせたくないという気持ちから魔法を使っていたのだけど、結果的に、何度も刺殺されて絶望する経験を父親に強いていたのだから、相当に残酷な仕打ちではある。

 

不倫夫に満塁ホームランみたいに「ざまあ」を決める作品は、「なろう」では人気のようで、時々みかけるのだけど、この作品の結末は、それらの中でも抜きん出て強烈だったと思う。

 

ジャンルは「異世界恋愛」だけど、恋愛要素はほぼ皆無なので、できることなら「異世界不倫」ジャンルを別立てしてほしいかも。

 

 

(_ _).。o○

 


「旦那様、王太子だからといって思い通りにはさせません」(おてんば松尾 著)

 

https://ncode.syosetu.com/novelview/infotop/ncode/n9697ji/

 

上に書いた不倫夫が家族運方面で滅びるお話と、同じ作者様の作品。

 

仕事はできるけど女嫌いで情愛に疎い王太子と、自分をしっかり持っている才女の正妃が、意見の食い違いや不妊問題、側妃の陰謀、王太子の記憶喪失など、数々の試練をジェットコースターのように乗り越えて、幸せな夫婦になるお話。

 

正妃を騙して避妊薬を飲ませていた女性秘書が、側妃に成り上がって先に懐妊した上、正妃に冤罪を着せて死刑を狙うなど、胸糞イベントが間髪を入れずに続く。

 

そんなに長いお話ではないのに、いわゆる王家の婚姻ものでは定番の胸糞要素が、ぎっしりと詰め込まれているお話だった。

 

結婚観の甚だしいすれ違い、妊活最優先の別居結婚、王太子の幼馴染(乳母の娘)の横恋慕、集団的嫁いびり、側妃問題、毒殺事件と冤罪未遂…

 

要素盛りだくさんなのに、無駄なくきっちりまとまっていて、キャラたちの心の動きもしっかり描かれていて、なんというか、うまいなあと思った。

 

最終的には王太子と正妃がお互いに歩み寄って培っていた愛情が、あらゆる胸糞を退けて、窮地を乗り切る力になる。

 

(_ _).。o○


「虐げられた令嬢は、まだ本気の愛を知らない」(朱居とんぼ 著)

 

https://ncode.syosetu.com/novelview/infotop/ncode/n9199fp/

 

よくあるドアマットヒロインもののようなタイトルだけれど、ドス黒い歴史を含む複雑な事情を織り込んだ、スケールの大きなお話だった。

 

王太子の婚約者であるリージュは、 〈神託の聖王妃〉として、幼いころから家族と引き離されて育つ。

 

ところが、後になってリージュの妹も〈神託の聖王妃〉として異能に覚醒する可能性を認められたため、王家は姉妹二人を聖王妃候補として平等に扱うことを決め、先に覚醒した方を王妃に、覚醒しなかったほうには死を賜ると決めてしまう。

 

同時に二人の聖王妃を王家が認めないのは、かつて、王家に嫁ぐことを拒絶した聖王妃が、敵対勢力と結びついたために、大規模な内乱の原因になったことがあったからだという。

 

そこは姉妹をまとめて王家の嫁(平等にダブル王妃とか)にしてしまえば解決するのではと、ちょっと思ったけど、それはそれで王城で泥沼の陰謀が渦巻くことになりそうだから、やっぱりダメなのかもしれない。

 

姉妹の両親は、ずっと手元で愛情をかけて育てていた妹が王太子の寵愛を勝ち取るようにと画策する一方で、密かにリージュを虐げ、やがて死すら望むようになる。

 

愛情に飢え、我欲を殺して生きることを強いられてきたリージュは、愛されたい一心で両親に逆らわず、王太子からも距離を置いていた。

 

けれども、いよいよ追い詰められた父親に、自室で絞殺されそうになったところで、初めて生きたいという我欲に目覚め、謎の男からもらった凶器を使って父親を倒して家から遁走し、命懸けの逃避行をすることになる…

 

王太子は最初から清廉なリージュに心底惚れていて、なんとか実家の魔の手から救おうとするのだけど、まだ若くて未熟なせいで、何をやっても後手に回るか空回りで、読んでいてがっかりするほど助けにならない。(´・ω・`)

 

最初から最後まで、緊迫した場面が続くので、読み終わるまでずっとハラハラし通しだった。

 

できれば、リージュの妹の後日誕をもう少し読みたかった。魅了の力で周囲からの愛情を強引に独り占めしていながら、偽物の愛しか得られないことに苦しんでいた妹は、どうやらエンディングの後に、多少は心のある人間になったらしいのだけど、何がどうしてそうなったのか、ちょっと知りたかった。

 

 

(_ _).。o○

 

 

「君を愛することはない」と言いましたよね? 前言撤回はナシです。」(北里のえ 著)

 

https://ncode.syosetu.com/novelview/infotop/ncode/n5283jf/

 

亡き母親の再婚相手や義理の兄たちに虐待されて、究極のサバイバル生活を送ってきたティアは、十七歳になった途端、義理の父親に結婚を命じられて、巨額の持参金とともに、会ったこともない伯爵の元に送られる。

 

そして迎えた結婚初夜に、伯爵からお約束の「君を愛することはない」という確約をもらったティアは、大喜びで別居結婚を受け入れるのだけれど…

 

なぜか赤貧に喘ぐ伯爵領の城で、ティアは持ち前のサバイバルスキルを生かして大々的な生活改善を図り、城の使用人たちや、貧しさに苦しんでいた領民の心を鷲掴みにして、皆から深く慕われるようになる。

 

当初はティアの思惑を疑っていた伯爵も、ティアの善意が本物であることを理解し、次第にティアに心を寄せるようになっていく。

 

ところが、ティアの評判が国王夫妻にまで知られたことから、事態が急激に暗転するとともに、ティアの隠し持っていた恐るべき異能や、生い立ちの秘密、さらには建国に関わる驚くべき事情などが、次第に明らかになる…

 

すごく読みごたえのある物語だった。

 

ちょっと笑ったのは、過去に異世界から転移してきて国の危機を救ったという、フィッツロイ一族の女性たちの名前。

 

怪我と病に苦しむ人々を救ったという、聖女カンゴシ。

 

作物の品種改良を行って食糧不足を改善した、女神ノーガクブ。

 

この方々の物語も、いつかぜひ読んでみたい。

 

 

 

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