昨晩、グループホームから外泊で帰宅していた長女さん(28歳・ASD)が、YouTubeの動画か何かを見ながら、しみじみと言った。
「やっぱり、ベヨネッタの3は良い」
「ベヨネッタ」は、Switchのアクションゲーム。
主人公のベヨネッタは、ナイスバディな黒眼鏡の女性で、動きもファッションも大変格好がいい。
でも、長女さんお気に入りの「ベヨネッタ3」では、ベヨネッタが死亡してしまったのだとか。
「友人キャラは、死んでからこの世に連れ戻されてたから、ベヨネッタも蘇生するかもしれない。そこに期待する」
と、寝込んでいた私に教えてくれた長女さんが、その数十分後、青い顔で駆け寄ってきた。
「ベヨネッタが死んだ!」
「いや、死んでたんじゃ……あ!」
たまたま見ていたネットニュースの見出しに、「田中敦子さん、死去」の見出しがあることに気がついた。
「そうだぞ。田中敦子さんだ」
「おいくつだったんだろう」
記事に、61歳とあった。
同い年だったのか。知らなかった…
映画 GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊」「イノセンス」は、何十回見たか分からないくらいだし、アニメシリーズもAmazonプライムビデオで見られるものは全部見た。
当然、主役の草薙素子さんの声は、脳に深く染み込んでいる。
田中敦子さんがベヨネッタの声も演じておられたのは知らなかった。
「ベヨネッタ、3で死んだまま、もう続編が出ないかもしれない…」
「いや、人気シリーズだし、声優さん変えて続くんじゃないかな」
でもそれは、もう長女さんの愛したベヨネッタではないのだろう。
そういえば、攻殻機動隊のアニメも、確か新シリーズ始まってたと思うけど、どうなったんだろう。
ニュースを探してみた。
田中敦子、大塚明夫、山寺宏一が語る「攻殻機動隊 SAC_2045 最後の人間」の“その先” AI時代に声優はどう生きるか : ニュース - アニメハックanime.eiga.com
座談会で、田中敦子さんが「攻殻機動隊」への参加は最後になるかもしれないと、別れを惜しんでいるのが、なんとも切ない。
病名は公表されていないけれど、一年の闘病の末のご逝去とのこと。
上の記事は2023年11月のものだから、既に闘病中だったはず。いろいろと思うところがおありだったのかもしれない。
記事では、AIが声優の肉声に取って代わっていく未来についても、語られている。
技術が進めば、田中敦子さんの声そのもののようなAIの音声も作れるようになるのだろうし、それはそんなに遠くない未来に実現すると思われる。
精巧に再現されたAI田中敦子音声には、オリジナルの田中敦子さんのゴーストが、揺るぎようもなく宿るような気がしてならない。