今週のお題「試験の思い出」
昨晩、そろそろ寝ようと思っているところに、受験勉強に飽きた末っ子がやってきて、何か音読するというので、ちょうど枕元にあったレヴィ=ストロースの「悲しき熱帯」を渡して読んでもらった。
読み始めた末っ子曰く、
「なんだこいつ。話が鬱陶しい。好かん」
同感だ。
この作品は、かつて「悲しき南回帰線」というタイトルでも出版されていた。
学生の頃、亭主の蔵書のなかにあったそれを借りてナナメ読みしていた私は、そのすぐ後に受験した博士課程の入試の英語長文を解こうとして、とっても既視感のある内容であるのに気づいた。
延々と続く悲観的な愚痴。
熱帯の話なのに、心寒い内容。
邦訳を読んだばかりだから、訳を作る設問は楽勝だった。
結果、入試には落ちたけれども、英語の成績だけは受験生の中でトップだったと、採点した先生に聞かされた。嬉しくなかった。
という話を末っ子に聞かせたら、呆れていた。
修士課程と博士課程の入試は、それぞれ二回づつ受けて、二回目に合格している。毎回英語の試験があったけれども、覚えている問題はレヴィ=ストロースだけで、他は忘れてしまった。
英語力もすっかり手放してしまって久しい。
Kindleなどで英語の書籍を読むことがあっても、翻訳機能に頼りっぱなしだ。以前はトンチキだった機械翻訳も、近年はずいぶん精度が上がってきているから、もうそれでいいと思っている。