「かっこいー」
一般的には、行動や容姿、ファッションなどが魅力的であることを賞賛するときに使う語。
感動詞に近い使われ方をすることが多いけど、形容詞として活用することもある。
「かっこよかろうが、かっこ悪かろうが」(未然形)
「かっこよかった」(連用形)
「かっこよく走る」(連用形)
「かっこよければ何でもいい」(仮定形)
元は、
名詞「かっこう(格好)」+形容詞「よい(良い)」
なのだろうけど、「かっこうよい」と発音する人はまずいないし、「かっこうがいい」も、使用頻度は少なそうだ。
変形して「かっけー」と発音されることもあるようだけど、我が家の人間は使わない。
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うちの息子(25歳・重度自閉症)が「かっこいー」ということばに反応するようになったのは、小学五年生(10歳)ごろだったと記憶している。
初夏のころだったか、朝は肌寒いけど、昼になると少し暑いかもしれないという日に、長袖シャツの上に大きめのTシャツを重ね着させて、登校させたら、そのコーディネートが特別支援学級の女性の先生方にとてもウケたようで、
「○○くん、かっこいー!」
と、何度も何度も褒められたらしい。
その後しばらく、息子は、重ね着にとてもこだわるようになった。夏になって長袖が必要なくなっても、重ね着を続けようとするほどだった。
それで、どうやら息子は「かっこいー」と褒められることが好きらしいと気がついた。
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重度の知的障害のある息子は、誰かに何かを褒められても、ほとんど反応しない子どもだった。
親はもちろん、学校や療育教室の先生がたも、どんなにささやかな成功であっても、息子への褒めことばを惜しむことなどなかったけれども、賞賛される側の息子はたいてい無表情で、嬉しそうにすることもなかった。
表情には全く出ていなくても、息子の心は「かっこいー!」と褒められることを喜んでいたのだろう。
25歳になった息子は、「かっこいーね!」と言われると、微かにニヤッと笑うようになった。
でもまだ自分から何かを「かっこいー」と評価したことはない。
理解するだけでなく、使えることばになるように、息子の日常に関わる例文を添えた単語帳を作ってみようかと思う。
【例文】
今日の洋服は、かっこいいね。
歯医者さんで、きちんと椅子に座って、先生に見てもらって、かっこよかった。
じょうずに箸が使えて、かっこいいね。
↑Snowで修正加工済みの、息子とは完全に別人としか思えない近影だけど、画像がないのも寂しいので貼ってみた。本物の息子は無精髭のおっさん顔。