また新しいゲームアプリを始めてしまった。
「文豪とアルケミスト」と言うゲーム。
プレイヤーは司書になり、転生してきた文豪たちを助手にして、汚染されてしまった「有碍書」に「潜書」し、作品世界に入り込んだ害をなす者たちを倒し、作者や作品を解放していくようだ。
とりあえず堀辰雄を仲間に選んでゲームを始めてみたら、チュートリアルで徳田秋声の「黴」という小説に「潜書」して浄化しろと言われた。
戦闘はオートで進んで、すぐに完了。
作品の汚染が消えると、作者の徳田秋声が出てきて、一緒に戦えるようになったのだけど…
うん、本物と全然違う。
転生して、いろいろ変わっちゃったのだろう。
本物の徳田秋声は、明治4年に金沢で生まれ、明治25年に小説家を志して尾崎紅葉を訪ねて原稿を渡したものの突っ返される。
その後、故郷に戻って新聞記者をしていたけれど、同郷の泉鏡花に勧められて尾崎紅葉にもう一度会いに行き、今度は門下生になり、数多くの小説を発表する。(徳田秋声記念館のホームページの記事を参照した)
ゲームに出てきた「黴」という作品は、名作として知られるものの一つで、徳田秋声の実人生を元に書かれたものだという。
Kindle版青空文庫に「黴」があったので、ダウンロードして、最初のほうを読んでみたのだけど…
行き当たりばったりの不健康な生活。
金の貸し借りにけじめのなさそうな人間関係。
料理はうまいけど身持ちの悪そうな女性に絡んだ、友人との不和。
その女性を身の回りの手伝いとして家に入れてズルズル付き合ううちに、妊娠が発覚。
友人に相談して女性ごと処分しようと画策…
作者ごと浄化した方が良さそうな物語だった。
(´・ω・`)
ゲームの中の徳田秋声は、愛想がないけど実直に働いてくれそうなキャラなので、いまは助手なってもらっている。
こんな調子で、出てくる作品をいちいち読んでいたら、ゲームはちっとも進まないだろうけど、それはそれで面白いかもしれない。