こんにちは。
このごろ、息子(24歳・重度自閉症)が、よくおしゃべりをする。使える言葉も少し増えているようで、時々思いがけないことを言ったりする。
一昨日の夕方、自宅まで送ってくれたヘルパーさんが、
「お出かけの間、ずーっと、『こまつな、こまつな』ってお話してて。小松菜好きなんですか?」
と報告してくれた。
息子は野菜が大好きで、小松菜のおひたしなどは、どんぶり一杯でも平らげるほどだけれども、「こまつな」という単語はこれまで口にしたことがなく、特に教えたこともなかった。いつ覚えたのだろう。
ちょっと前には、息子に「洗濯物取り込んでー」と頼んだら、
「分かった」
と、年相応の落ち着いた声色で自然に返事をしたので、腰が抜けるほど驚いたことがあった。
息子は発語はあるけれど、会話が「やりとり」になることは滅多にない。こちらが言ったことのオウム返しになることがほとんどだし、意味不明な音の羅列になることも多いのだ。
なので、「すごいね! ちゃんと会話になったね!」と猛烈に褒め称えた。
息子も嬉しかったらしくて、それからしばらく、一人でこっそり「分かった」と声に出して練習している姿を見かけたのだけど、その後、会話中に「分かった」と言ってくれることはなくなった。もしかすると、褒められすぎて、息子の中の「分かった」の理想形のハードルが高くなりすぎたため、使いにくくなってしまったのかもしれない。息子プライドがものすごく高くて、人前で失敗することを避けたがるところがあるので、その可能性はあると思っている。
(_ _).。o○
そういえば今年に入ってから、台所の観察が息子の趣味になっている。
私が料理などしていると、30秒置きに覗きにくる。
どうせ見るならずっと見ていればいいのに、チラッと見ては立ち去るのを繰り返すのは何故なのか。
介護施設でもキッチンスペースにこだわっているらしい。息子の通う施設では、普段くつろいでいるフリースペースに、カウンターキッチンがあって、お昼ご飯(仕出し弁当+α)の支度などをするらしいのだけど、それを観察するだけでなく、キッチンに入ろうとする他の利用者さんたちを止めたりもしているらしい。
息子は幼児期のころは酷い偏食だったのだけど、それが解消されるにつれて、食べ物に関わること全般に好奇心を発揮するようになった。
カップ麺にはお湯を入れれば食べられるということに気づいてからは、袋入りのインスタントラーメンを器に入れて水を注ぎ、じーっと待って、ふやかしてから食べるというやり方を開発したりしていた。
学校時代は食べることに執着しすぎて肥満してしまったけど、過食が落ち着いてからは、食後の食器の後片付けにこだわるようになった。食べすぎはいけないといことを自分でもよく分かっているようなのだけど、テーブルに食器があると、いつまでも食べ続けたくなるので、見えるところから撤去してもらいたいようなのだ。
食事が済むと、息子は間髪を入れずに、
「洗う!」
と宣言するのだけど、息子には食器洗いの作業は難しいので、家族(主に私)洗うことになる。
洗いものを始めるまで、耳元で「洗う、洗う!」と忙しなく叫ばれるので、近頃では食べ終わったら即座に洗い物を済ませるようになってしまった。
息子がショートステイの夜だけは、食後の休憩をゆったり取ることができるのだけど、それはそれで、なんだかもの寂しかったりもする。