湯飲みの横に防水機能のない日記

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「鎌倉殿の13人」(44)審判の日

NHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」第44回「審判の日」を視聴した。

 

このドラマを見始めた時から、実朝が公暁に殺されるまでの経緯をどう描くのか、いろいろと想像をたくましくしながら待っていたけれども……

 

凶行の直前に、父の死の真実を知ってしまった実朝が、公暁に泣いて謝るというのは、全く想像しなかった。(´・ω・`)

 

この二人が、北条や三浦の思惑の絡まない場所で、身内としてもっと早く腹を割って話し合っていたなら、史実とは違う展開があったかもしれないし、少なくとも政子が我が子や孫を全て失う結果にはならなかったのではないか……

 

見ている側にそう思わせることで、こののちの悲劇を一層盛り上げようという意図が、脚本家さんにはあるのじゃないかと、邪推したくなるエピソードだった。

 

多少なりとも想定内だったのは、実朝と源仲章の殺害に、義時の思惑が絡んでいたことだった。

 

公暁の謀反の黒幕は三浦義村で、義時はそれに気づいていながら止めなかっただけだった。けれども、三浦と公暁が動かなければ、いずれ義時が実朝を葬ったのかもしれない。

 

ドラマの義時は、実朝が、いずれ鎌倉を捨てて幕府を西に移転すると言ったことで、完全に実朝を見限っていた。

 

義時にとって、坂東武者のための世を作りたいと言い残して逝った兄の思いと、非情に徹して鎌倉幕府を築いた頼朝の遺志を継ぐことが絶対に譲れない人生の目的なのだろうから、朝廷の意のままに動く鎌倉殿など容認できるはずがない。決裂するのは時間の問題だっただろう。

 

弟の時房に「ここからは修羅の道だ」と真っ暗な顔で話していた義時の心の中には、いずれ後鳥羽上皇と真っ向から戦うことまで想定されていたのかもしれない。

 

実朝と公暁と同様に、義時と実朝も、叔父と甥の関係だ。どちらの叔父も、甥に慕われる機会を徹底的に逃している。

 

実朝は若すぎて仕方がない気もするけれども(公暁との年の差は8歳)、義時はもう少しどうにかならなかったものかと思う。

 

もっともドラマの義時は、頼朝の冷酷な指示に従っていろいろと手を汚していたタイミングで、最愛の伴侶だった八重を失ったことで、愛情面での幸せを自分の人生から切り捨てたみたいな感じだったから、君主であれ肉親であれ、まともに情を繋いで信頼関係を築くということが出来なくなっていたのかもしれない。

 

などと考えると、実朝が殺されるのは、結局頼朝のせいという気もしてくる。

 

ドラマでは、柔和な性格で弱腰にも見える実朝だけれども、義時をはじめとする老獪な御家人たちの圧に屈することなく、朝廷と渡りをつけていたことを考えるなら、決して政治的に無能な君主ではなかったように思える。

 

実朝の失策の象徴みたいになっている大型船の建造だって、もしもきちんと成功していたなら、かつての平氏のように、鎌倉幕府主導で貿易に参画して財を成す可能性だってあったかもしれない。

 

北条と対立することもなく、暗殺もされず、朝廷とのガチバトルもほどほどに回避して、鎌倉殿兼右大臣として長生きしていたなら……

 

それでもやっぱり、いずれ室町時代は来ちゃいそうな気はする。(´・ω・`)

 

 

あと、どうでもいいけど、公暁、髪の毛が伸びるのが早すぎないだろうか。たった半年でスキンヘッドがレゲエの人みたいになってて驚いた。

 

 

(_ _).。o○

 

 

毎回楽しみにしている歴メシネタだけど、今回は食べ物が何も出てこなかった。(´・ω・`)

 

仕方がないので、これから惨劇が起きる鶴岡八幡宮のお土産品を検索してみたら、鳩サブレーが出てきた。

 

 

鳩サブレーは、鎌倉豊島屋の初代店主が、かねてから崇敬する鶴岡八幡宮本殿の掲額の「八」の字が、鳩の抱き合わせであることや、境内に鳩がたくさんいることにちなんで、この形になったのだという。

 

鳩のつぶやき | 鎌倉の味 鳩サブレー 豊島屋

 

鳩サブレー鎌倉時代には確実に存在しないけど、生きている鳩なら、もしかしたら実朝のころの鶴岡八幡宮にもいたかもしれない。

 

鳩料理ってないのかしらと思って、いつもお世話になっている「古事類縁データベース」を検索してみたら、こんなのが出てきた。

 

旬料 大和國吉野御厨所進鳩

 

延喜式 三十九 内膳

 

延喜式」は平安時代中期に作られた律令の施行細則。

 

大和国の吉野の「御厨(みくりや)」が、鳩を神饌として捧げたらしい。

 

これだけだと鳩の調理法や加工状態はわからないけど、食べ物として納められたのは間違いない。

 

鳩料理、どんなだったんだろう。

 

「古事類縁データベース」を漁っていたら、「当流節用料理大全」という江戸時代の料理本に「鳩酒」という料理があった。

 

鳩酒

〈はとたゝき入みそニすりまぜさけを入〉

 

當流節用料理大全

 

鳩を叩き入れ、味噌にすり混ぜ、酒を入れる。

 

ひき肉にして味噌と酒を加えるのだろうか。加熱はしないのか。生食は食中毒が怖そうだけど…

 

ためしに「鳩酒」でGoogle検索してみたら、goo辞書に立項されていた。

 

はと‐ざけ【鳩酒】

鳩の肉・骨をたたき、酒に入れて煮たもの。腰痛や下冷えに効能があるという。

 

(goo辞書)

 

加熱はするようだ。よかった。

しかしこちらは骨まで砕いていて、味噌が不使用だ。

 

広辞苑にも記述があった。こちらは酒が「上等」になっている。

 

はと‐ざけ【鳩酒】

 

たたいた鳩の肉と骨とを上等の酒に入れ、火にかけたもの。腰痛・下冷に効能があるという。

 

(「広辞苑」無料検索を利用)

 

なんとなく民間療法っぽいので、もしかしたら平安時代鎌倉時代あたりから伝わるものなのかもしれない。

 

江戸時代の国学者、天野信景が書いた「随筆珍本塩尻」という本には、「長崎より筆して贈りし通使の者を、紅夷饗する治具」として、鳩料理が紹介されているようだ。

 

ハステル汁

〈鳩鷄肉玉子丸くして醬油少鹽少入て煮ル

 

「ハステル」が何かは不明。「紅夷」(多分オランダ人)がもてなすというのだから、洋食なのかと思うけれども、醤油を使っているし、よく分からない。

 

「丸くして」というのだから、肉団子っぽいものだろうか。「古事類縁データベース」のテキストは、検索した文字列を含む一部分しか見られないので、詳しいことが分からない。

 

もっとも全文見えても私には解読できない可能性が高そうだ。「塩尻」を収録している「日本随筆大成」は中古品がAmazonで2000円台で買えるようだけど、買う勇気はない。😭

 

 

 

だいぶ鎌倉殿から離れてしまった。

鳩を追いかけるのはこのへんでやめておく。

 

 

次回も歴メシネタはあまり期待できそうにない。

何もなかったら、またこじつけに走りそう。(´・ω・`)

 

 

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