湯飲みの横に防水機能のない日記

色々壊れてて治療中。具合のよくないときに寝たまま携帯で書くために作ったブログです。ほんとにそれだけ。

帰ってきたコロナ日記(ハーシス?なにそれ美味しいの?)

家族5人全員がコロナ感染したということは、その人数分だけ、病院や保健所からの連絡があるということでもある。

 

仕方がないとはいえ、何度も何度も電話がかかってきて、気の休まるヒマもない。

 

二年前も同じような感じだったと亭主が言っていた。私は入院していたから病院で管理されていたけど、残りの家族については、連日連夜、一人につき1日1回ずつ、感染した亭主と息子の分だけでなく、濃厚接触者の長女さんと末っ子についても、保健所から体調確認の電話が来てきたそうだ。

 

日本中の保健所の業務は、さぞかしパンクの連続だったことだろう。(~_~;)

 

いまは、ネットやアプリでの経過観察が主流になっているとかで、先に感染が確定した息子や長女さんたちは、それぞれ数回の電話のやりとりのあと、ハーシス(新型コロナウイルス感染者等情報把握・管理支援システム HER-SYS)とかいうハイカラなものに登録して、よろしくやっている様子だったので、いろいろ進化したんだなあと感心していたのだけども……

 

ツールがどれほど進化して洗練されても、そのツールと利用者をつないで運用に持っていくためのインターフェースがよろしくなければ、便利道具もゴミ同然であるというのを、忘れていた。

 

 

(_ _).。o○く

 

私への電話連絡攻勢は、他の家族がハーシスでの経過観察に移行したあと、昨日の午前中から始まった。

 

最初に電話をくれたのは、保健所の女性だった。現在の症状や基礎疾患、処方薬の情報などについて、丁寧に聞いてくれた。

 

昨日昼間の時点で、カロナール(解熱鎮痛剤)を飲んでいるので、熱は37.5度以下に収まっているものの、喉の痛みと咳が酷く、夜まともに眠れていないこと、二年前に感染したときには肺炎になって、かなり大変な状態になったことを伝えた。

 

すると保健所の方は、本日中に近所の病院の診察を受けられるように調整するので、入院準備をして待っているようにと言った。

 

私のような状況だと、胸の検査などをして、そのまま入院になるケースが多いのだけど、家族全員感染で自宅療養中だから、入院荷物を運ぶ人手がないということになる。だから、診察時にあらかじめ入院の用意をしておいたほうがいい、ということだった。

 

重い咳の感じから、肺炎の可能性はあるかもしれないと思って、自分でも不安だった。入院なんぞ心の底から嫌だけれども、新型コロナ肺炎を自力で自宅療養するのはハイリスクすぎる。

 

というわけで、しんどい身体に鞭打って、なんとか着替えやら洗面道具やら処方薬やらを詰め込んだバッグを作った。ヨレヨレの亭主にも手伝ってもらって、CPAP(無呼吸症候群治療のための呼吸機器)や、心の命綱であるKindleなども荷造りした。

 

そうこうするうちに、また保健所から電話が来て、うちから一番近い総合病院で診察を受けられるように手配したので、病院からの電話の指示にしたがって受診するようにと言われた。

 

時を置かずに、病院から電話が来た。

 

「病院のなかには入れませんので、救急車の止まるところで、待ち合わせしましょう。いまからどれくらいで、来られますか?」

 

と聞かれたので、普段なら徒歩で10分とかからないけど、保健所のほうから、入院の荷物を持っていくように言われているので、いまの体力だとどれくらいでたどり着けるか分からない、と正直に答えたところ、

 

「え? 入院準備? 保健所さんからそう言われたんですか?」

 

と聞き返されたので、そうだと答えると、また連絡するから待つようにと言われた。

 

なんだか、いやーな予感がした。

 

それほど時間をおかずに病院からまた電話がきて、入院荷物などは持ってこなくていいけど、CTを撮るかもしれないから、金属やプラスチックのボタンなどが一切付いていない服を着てくるように、と言われた。

 

CTのときは、病院で撮影用の着衣を貸してくれるのが普通だと思っていたけど、どうやら何も貸すつもりがないらしい。仕方がないので、指定通りにするために、全部着替えた。

 

小さなトートバッグだけ持って、ゆっくり歩いて待ち合わせの場所である「救急車の止まるところ」に着いたのだけど、人の姿が見えない。

 

10分ほど待ってみても誰も来ないので、場所が違うのかと思ってうろうろしていたら、どんどん気持ちが悪くなってきて、これはまずいどうしようと思ったところで、ビニール袋を持った男の人が走って追いかけてきた。名前を聞かれたので答えると、プレハブ小屋の前に案内され、手に持ったビニール袋の口を開いて、保険証を入れるように言われた。そのままプレハブ小屋に入るように言われたけれども、鍵がかかっていて入れない。またしばらく外で待つように言われたものの、既に立っていられる状態じゃなかったから、地べたに座り込んで待った。

 

何分くらい待っただろうか。具合が悪いものだから、体感時間がやたら長く感じられたけど、そんなでもなかったかもしれない。

 

プレハブ小屋のドアが内側から開いて、中に招き入れられたものの、またそこでしばらく待たされた。

 

小屋内部は六畳ほどで、椅子が数脚と、ベッド一台、小さなカウンターテーブルの上に体温計が一個あるだけ。

 

壁には内線電話とエアコンが設置されている。

 

狭い小屋内にクーラーがガンガンに効いているので震え上がって待っていたら、完全防備の若い医師が来て、検温するようにと言った。37.3度ほどだった。そのあと酸素飽和度を測られた。こちらは97%だった。喉がひどく痛いことを伝えると、扁桃腺を診られたけれども、「ああ、腫れてませんね」とあっさりいう。ほんとに腫れていないの? 声もまともに出ないくらい、めっちゃ痛いのに。

 

肺炎の可能性はないのでしょうかと聞いてみたけど、酸素飽和度が94%台まで下がるのが目安だから、そこまで下がったらまた連絡してくださいと、私が使った体温計をアルコールで丁寧に拭きながら言われた。

 

薬が来るからこのままここにいるようにと言い残して、若い医師はプレハブ小屋から退場。

 

しばらくすると、薬剤師さんが薬を持ってやってきて、プレハブのドアごしに渡して寄越しながら、「このあと電話を取ってください」とだけ言って、素早く去って行った。

 

訳がわからないまま待っていると、壁の内線電話がけたたましく鳴りだしたので、恐る恐る出てみたら、さきほど素早く去った薬剤師さんで、渡した薬の説明をしてくれた。PCR検査をした病院で出してくれたカロナールと同種の解熱鎮痛剤だった。

 

コロナの患者なので、お会計はない。

 

薬袋をトートバッグに突っ込んで、何度か立ち止まりながら帰る途中、ゴルゴダの丘を進むイエスキリストのイメージが何度も頭をよぎったけれども、十字架よりはオミクロンのほうがだいぶマシだ。

 

自宅までの数百メートルを死力を尽くして歩ききった時には、今日はもう倒れて寝よう、絶対に動くものかと心に誓った。

 

しかし簡単には寝かせてはもらえない。

 

家に着いてしばらくすると、保健所の人から電話があったので、病院でのことを伝えたところ、

 

「え、CTもレントゲンも撮らなかったんですか!?」

 

と驚かれたけど、私に言われても仕方がない。

 

病院の方々の様子から察するに、コロナの入院患者を受け入れる気がなかったんだろうと思われる。保健所のほうから、私がハイリスクであることは伝わっていたと思うのだけど、そこのところはきっちりスルーされていた。

 

オミクロン株は肺炎になりにくいらしいので、そういうところも加味されての判断だったのかもしれないとは思う。

 

けれども、私にしてみれば、最低レベルで具合の悪いときに、入院の荷造りまでして、歩かされて、地べたに長く座って待たされて、既に持っている薬をまた出されただけで帰されたのは、無駄足、徒労であるわけで、正直なところ、かなり腹だたしくはあった。レントゲンくらい撮ってほしかった。

 

それと、プレハブ小屋の医師は酸素飽和度が94%に下がるのが肺炎の目安だといっていたけど、二年前に肺炎になったときでも、95%を超えていることが多かったのだ。若い医師だったし、あまり臨床経験がなかったんじゃなかろうか。

 

でも、その腹立ちを保健所の人にぶつけるのは違う気がしたし、もはや疲れ果てて怒りを持続する気力もなかったので、プレハブ小屋の若い医師の頭頂に早晩禿げるように軽くハゲマシの念を送るだけで忘れることにした。

 

保健所の人は、今後も保健所のほうで経過観察の電話をするけど、もし携帯電話を持っているなら、そちらで経過観察もできるけれどもどうしますか、というようなことを言うので、自分の携帯の番号を伝えておいた。

 

あまりにも疲れ過ぎて、その後の経緯はもはやよく覚えていない。

 

深夜になって、携帯のSMSに、県の感染症対策課からのメッセージが届いていた。読んでみると、噂のハーシスの案内だった。

 

新規登録の手続きをしなくてはならないのだけど、なんだか小難しくて、熱と咳でぐだぐだになっている脳では、説明がさっぱり頭に入ってこない。

 

メールアドレスを登録しろというので、いつも使っているメアドを入力してもはじかれる。綴りの間違いもないのに何度やってもダメなので、別のメアドにしたら、すんなり受け入れられた。訳がわからない。

 

その後の記入項目も数が多くて面倒だったので、こんなのは高熱で唸っている人間にやらせることじゃないという理由で、必須でないものは全部パスした。元気になったらやっておこう。意味なさそうだけど。

 

横でぐったりしている亭主にアドバイスを仰ぎつつ(あまり役には立たなかった)、なんとか登録を済ませ、本日の健康状態を記入してから、強引に就寝。

 

3時間くらいは眠れただろうか。

 

今朝は吐き気が治まっていた。

食欲はなかったけど、もう3日ほど、まともに食事をしていないので、亭主が焼いてくれたチーズトーストをポカリスウェットで流し込んだ。

 

9時過ぎに、保健所から、亭主の携帯電話に私宛の電話が来た。

 

かけてきたのは昨日の女性ではなく、男性だった。

 

経過観察の電話かと思ったら、そうではなくて、私の携帯番号を教えてほしいと言うことだった。保健所には既に伝えてあるのに、なんでまた必要なのかと思ったけど、経過観察のためだという。頭にはてなマークが飛んだものの、詳しく尋ねる気力もないので、番号を伝えた。

 

電話を終えてから、自分のiPhoneの着信を見たら、亭主の携帯にかかってくる少し前に、私の方にも着信している。訳がわからない。

 

 

1時間後、私のiPhoneに保健所からSMSが飛んできた。

 

ハーシス新規登録のご案内だった。

 

(´・ω・`)

 

 

 

お昼は、たまご雑炊定食。亭主作。

 

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胃に沁みた。