今年は夫婦揃って還暦になるのだけど、世の中はコロナだし、どこかで食事をするとかいう気持ちも起きない。
コロナさえなければ、亭主といっしょに博物館や美術館を回りたいところだけど、オミクロン株とやらを拾ってくる予感しかしないので、やめておくべきだろう。
それでも一生に一度のことだし、何か記念になることをしたいな、などと亭主に言ったら、
「たいていのことは一生に一度だし、百二十まで生きれば還暦なら二度目がある」
などと言う。
何もする気がないことは、よーく分かった。(´・ω・`)
かく言う私も、特に欲しいものもない。
むしろ物はあまり欲しくない。
強いていうなら書籍代をたっぷりもらえたら超うれしいけれども、それじゃ還暦の記念にならない気がする。
なにかいいお祝いのしかたを、ゆっくり考えよう。
(_ _).。o○
昨日読んだ「メタモルフォーゼの縁側」に、七十五歳手前にしてBLマンガにどハマりした市野井雪さんが、開業したばかりの頃のサンシャイン60の思い出を語る場面があった。
夫が展望台に登りたがったのに、エレベーターの待ち時間が長すぎるのに嫌気がさした雪さんは、「また今度にしましょうよ」と言って止めたのだ。
結局は、一緒に展望台に登る機会のないまま、雪さんの夫は亡くなってしまった。
「『また今度』があると思ってたのよねえ」
そんな雪さんが、書店で知り合った女子高生の佐山うららと二人で、サンシャイン60で開催される同人誌即売会に参加し、お気に入りのBL漫画家さんの本を存分に買い込んで、漫画家さんとの握手も果たす。亡き夫に、心の中で、
「ごめんなさいね。私ばっかり楽しくて」
と謝りながら。
(_ _).。o○
私が七十五歳になるまで、あと十五年もある。
長女さんや末っ子に、「いつかコミケに連れてってよ」と頼んでいるけど、いまの体力だと幕張メッセまでたどり着ける気がしない。サンシャイン60も待ち時間が長ければ危うい。
あと、病気だらけの私より、ほぼ無病息災の亭主のほうが、ずっと長生きすると思う。だからたぶん、市野井夫妻とは違った「老後」となるだろう
でも、家族みんなが一緒にいるうちに、一つでも多く楽しいことができるといいな、とは思うのだ。