元日に、ショッピングセンターの初売りに出かけて、そこの書店で本を一冊と、ファンシー文具の福袋を一つ買った。
ファンシー文具は長女さんや末っ子と山分けした。私は本のしおりになりそうな付箋などを分けてもらった。
買った本は、これ。
タイトルに太宰治とあるのを見て、末っ子が嫌そうな顔をしていた。夜の音読本に選ばれるのだろうと思ったのだろう。昨年末に、太宰治関連の酷い逸話をだいぶ読んでもらったせいで、すっかり食傷していたので、無理もない。
まあ音読はそのうちに。
北村薫の作品を読むのは、たぶん初めてだ。
推理小説作家だというのは辛うじて知っていたけど、ミステリーはほとんど読まないから、代表作も分からない。そして、ついさっきまで女性だと思っていた。
「太宰治の辞書」は短編集で、冒頭の「花火」という作品は、女性編集者が芥川龍之介などの作品について深く語る流れのなかに、時折、妻や母親としての日常の出来事が混じり込むという、随筆のような書き方がされている。
作者が女性だと思い込んだまま、豊かな言葉をふんだんに注ぎ込んだ文章にじっくり浸って読み進めていたので、「花火」をほぼ読了してWikipediaの北村薫のページを開いた途端に男性の写真がパッと表示されたものだから、「えっ!?」と声に出るほど驚いた。同時に、直前まで読んでいた作品が随筆ではなくフィクションだと理解した。
ほんとうに、私はいつも簡単に小説家にだまされる。他愛のない読者だなと自嘲したくなるけれども、簡単に物語に乗せられてしまうから、読むのをやめららないのだとも思う。
Wikipediaの記事をみたら、国語の教師をしながら小説を書いていた時期があるそうで、教え子にラーメンズの片桐仁がいるとのこと。へー。
著作一覧を見ていたら、見覚えのある書名を見つけた。
「詩歌の待ち伏せ」。
これ、買った記憶がある。
病院の帰りだったか、立ち寄った書店で手にとって開いて、これは読むべきと思って買ったのじゃなかったか。そんな記憶がある。記憶違いかもしれないけど。
慌ただしい生活のなかで、積読したまま忘れてしまっている本は、他にもたくさんある。
探そう。