「もうすぐ絶滅するという紙の書物について」(ウンベルト・エーコ、ジャン=クロード・カリエール)
絶滅を意識しているからなのか、ヤケクソのように分厚い本になっている。
最初のほうに出てきた会話をちょこっと引用。
しかしながら、今の携帯電話ですとか、iPodなんかの活躍の可能性は果てしない広がりを見せていますね。
聞いた話では、日本人は、携帯電話で小説を執筆して、それを携帯電話で配信したりもしているそうですね。
(33〜34頁 ジャン=クロード・カリエールの発言)
ここで言われている「携帯電話」はスマホではなくて、いわゆるガラケーのことだと思う。
今世紀に入ったばかりの頃、ガラケーで読むことができる連載小説が存在していて、私も少し読んでみたことがある。1話が短いので、手軽に読める反面、ちょっと物足りなく思ったりもした記憶がある。
このジャンルの小説の発祥や推移について、ウィキペディアの「ケータイ小説」のページにかなり詳しく書かれている。それによると、携帯電話(ガラケー)で小説が読み書きされ、書籍化までされるという現象は、日本にしか存在しなかったらしい。
日本人のガラパゴス化現象は、携帯電話だけでなく、文学活動にも及んでいたようだ。
ケータイ小説はその後衰退したけど、「小説家になろう」などの作品投稿サイトはとても元気で、いろいろな文学賞なども設定されて、読者の心をつかんだ作品が次々と書籍化されて書店に並ぶようになっている。
そういう流れを見ると、電子媒体で発表される小説が、紙の書物の存続を支えている形になっているけれど、私のようにネット版とKindle版しか読まない読者も少なくないだろうから、紙の書物の未来がどうなっていくのかは、ちょっと分からない。
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この日記の写真を撮るために飾るものを集めていたら、枕元がだいぶにぎやかになった。というか、だんだん雑木林みたいになりつつある。
そういうもののアレンジメントの才能がないからだけど、それはそれで気に入っている。枕元に雑木林のミニチュア。いいじゃん。
蛇足だけど、「もうすぐ絶滅するという紙の書物について」は、Kindle版も出発されていて、そっちのほうが862円安い。