療養中のヒマつぶしで、100年前ほど前になる大正の終わり頃に焦点をあてるようにして、ちまちまと記憶の足場を構築中。
先日読んだ内田魯庵の「最後の大杉」で、大杉栄と伊藤野枝が殺された甘粕事件が、関東大震災(1923年)直後だったことが強く印象に残ったので、その周辺の出来事をおさらいしてみた。
大正元年……1912年
第一次世界対戦……1914年〜1918年
関東大震災……1923年
甘粕事件……1923年
パンデミックと大地震が立て続けに起きるなんて、100年後の今でも大惨事なのに、それに加えて戦争まであったのだから、国民の負担とストレス、不安は凄まじいものだったと思う。
同じ時期の国外の情勢を記憶する材料が欲しいので、例によってkindle unlimited(読み放題)本を漁っていたら、こんなのが見つかった。
ロシア革命も大正時代の出来事なので、ちょうどいいかなと思って少し読んでみたのだけど、序文にいきなり「日本」が出てきた。
その一節では、資本家が、領土併合の問題に関して味方に付けた社会主義的排外愛国主義者とともに、平然と嘘をついているという事実に触れた(中略)。
また、社会主義的排外愛国主義者が、自国の資本家の行なっている領土併合を臆面もなく擁護しているということにも触れた。
それらのことを検閲に通るような形で読者に説明しなければならなかった。そこで、やむなく例に挙げたのが……日本なのである!
注意深い読者には、日本というのは実はロシアのことだと、造作なく察していただけよう。また、韓国が指しているのは、大ロシア人以外の民族の居住している地域、すなわちフィンランド、ポーランド、クルランド(ラトヴィア西部地方、ウクライナ、ヒヴァ、ブハラ、エストニアなどのことだということも察していただけよう。
「帝国主義論」序文より引用
なんというか……
ソビエト連邦がなくなってからの世界をレーニンが眺めたら何て言うか、ちょっと聞いてみたい気がする。
「序文」には、「ザ・帝国主義」といいたくなるような歴史的事件についての注がいくつもついていた。
米西戦争……1898年に米国とスペインとの間で起こった戦争。スペインが、独立を求めたキューバに対して圧政を強めたとき、キューバと経済的に緊密な関係にあった米国が干渉したのが発端。米国は圧倒的勝利により、キューバ独立ばかりか、それまでスペイン領だったプエルト・リコ、グアム、さらにはフィリピンの割譲をも勝ち取った。
南ア戦争……ブール戦争ともいう。アフリカ大陸を縦断する形で植民地領有を拡大しつつあったイギリスが一八九九年、南アフリカにおいてブール人(オランダ人入植者の子孫)の経営するトランスヴァール共和国およびオレンジ自由国を相手に仕掛けた戦争。一九〇二年、イギリスは両共和国の独立を奪い、両国の主要産物であるダイヤモンドと金を支配下に収めた。
(「帝国主義論」序文の注より引用)
人の家に上がり込んだ強盗が別口の強盗と殴り合いした挙句に居直りを決め込むようなことを、国家規模でやっていたというのがよくわかる。
何百年かしたら、19世紀と20世紀は超絶野蛮な時代と言われるようになっているかもしれない。
年表的情報の確認。
日露戦争……1904年〜1905年
韓国併合……1910年
ロシア革命……1917年
第一次世界大戦終わり……1918年
昭和元年……1926年