湯飲みの横に防水機能のない日記

色々壊れてて治療中。具合のよくないときに寝たまま携帯で書くために作ったブログです。ほんとにそれだけ。

ラノベ乱読メモ

 

kindleの読み放題サービスのおかげで、ふんだんに本を読ませてもらっている。

 

小説家になろう」「カクヨム」「アルファポリス」などの小説サイトで連載されている小説も、大きな楽しみになっている。

 

私にとっては抗不安薬などよりも本を読むほうが「効く」ので、このサービスやサイトの存在は、は、ほんとうにありがたい。

 

読んだ作品のことは、できるだけブログに読書メモを残そうとは思うのだけど、読む数が多すぎて、現状、メモが追いついていない。

 

昨日から今日にかけて、「読んだらすぐメモする」というノルマを自分に課して、ここのブログの下書きでやったのだけど、6冊分も溜まったので、とりあえず一区切りつけることにした。

 

kindle読み放題書籍で無作為に選んだラノベを読んだはずなのに、恋愛要素よりも変態要素が多い作品に多く当たったのは、単なる偶然なので気にしないでもらいたい。

 

 

「悪役令嬢に転生したけど、破局したはずのカタブツ王太子に溺愛されてます!?」(花菱ななみ 著)

 

 

kindle読み放題)

 

お約束の婚約破棄イベントのあと、主人公が拉致されて娼館に売り飛ばされるという、ハードな展開であることに、まず驚く。

 

一体ここからどうやって王太子に溺愛されるのかと思っていたら、主人公を捨てて別の女性と婚約した王太子が、結婚前の「練習」のためにお忍びで娼館にやってきて、主人公の初めての客になるという、安全なレールが敷かれていたのでホッとした。

 

王太子は元婚約者ごと娼館を丸ごと買い取って安全を確保しつつ、主人公をハメて自分が王太子妃になろうとしたヒロインの犯罪行為の裏を取り、盛大な弾劾イベントを執り行って「ざまぁ」を完遂する。

 

そんなことになる前に、ちゃんと婚約者とコミュニケーションを取っておけば、普通に相思相愛になれる二人だったのにと思うけれども、それだとラノベにならないのだから仕方がないのか。

 

場所が娼館であるせいか、「蜜猫文庫」のカラーであるのか、官能シーンの割合がかなりどっさり多めだった(胸焼けした…)。もう少し他の場面の描写をたっぷり読みたかったところではある。

 

魔法のある世界らしいのに、魔法関連の話は王太子が娼館に来るときに装着していた怪しい仮面だけだったのが、ちょっと惜しかった。

 

 

「絶対君主の独占愛」(みかづき紅月 著)

 

kindle読み放題)

 

あらすじやネタバレを書くのが憚られる系のお話なので、ざっくり紹介。

好きになった他国の王女が、女王に即位するにあたって、「国と結婚する」と言ったために、嫉妬にかられて国ごと自分と合体させるという、無茶苦茶な絶対君主のお話だった。結果的に女王が幸せになったとしても、結果に至るまでのプロセスが徹頭徹尾脅迫と犯罪なので、なにかこう釈然としないというか……読者にSM耐性がないと、ついていけないお話かもしれない。

 

 

「ミッシング」(白石まと 著)

 

kindle読み放題)

 

こちらもあらすじやネタバレを書くのが憚られるので、ざっくりと。(´・ω・`)

愛妻家の王太子が、王位を狙う弟の陰謀を退けるかたわらで、妻を変態的に虐め回すというお話だった。

 

いや、いろいろと興味深い人間関係や心理描写もあったと思うし、文章もイメージ豊かで素敵なのだけど、めくるめく変態の割合が圧倒的に多過ぎて、自分は昼間っから一体何を読まされているんだろうと自問せずにはいられなくなるというか、ラノベの極北は団鬼六方面に突き抜けつつあるのだろうかと小一時間問い詰めたくなったりとか……なんか疲れた。(´・ω・`)

 

 

 

「冷酷な騎士団長が手放してくれません」(朧月あき 著   ベリーズ文庫)

 

 

kindle読み放題)

 

上の三作品を読了後、変態の出てこない(ヒーローの変態性が暴走しない)、普通のお話がどうしても読みたくなって、読んだ作品。

 

辺境伯令嬢であるヒロインが、幼少期に遭遇したテロ事件でたまたま助けた身元不明の少年を従僕として召抱えたところ、ヒロインだけに絶対の忠誠を誓う最強の騎士として成長。ヒロインの他国の王族との縁談とか暗殺未遂とか戦争とか、いろいろな試練があったものの、最終的に、騎士団長が国王の第一王子であることが判明し、二人は無事に結ばれる、というお話だった。

 

読みどころは、幼いころから深い絆で結ばれていた二人の関係が恋愛にシフトしていく過程なのだろうけど、そんなことよりも、長らく自分の思いを秘していた騎士団長が病んで暴走変態化しないかとハラハラしながら読んでいたので、そうならずに爽やかに終わったことが何よりも嬉しかった。

 

ベリーズ文庫」では、「蜜猫文庫」のような変態尽くしに投げこまれる心配はないらしい。覚えておこう。

 

 

王太子は無自覚!?溺愛症候群なんです」(ふじさわさほ 著) ベリーズ文庫

 

で、「ベリーズ文庫」の安全性を確認するために、もう一冊読んでみた(kindle読み放題)。

 

変態要素はほとんどなかったけど(敵役は多少キモかったものの、少なくともヒーローは変態ではなかった)、お姫様がやたらと誘拐されるので、別の意味でハラハラさせられた。

 

冒頭、他国に嫁ぐために入国した直後に、とりあえず誘拐される。

 

毒殺未遂や襲撃事件が解決していないのに、お忍びで街を歩いていて拉致される。

 

誘拐されるたびに、気丈な性格をフル活用して嫁ぎ先の国難を解決するので、さらわれ損ではないものの、お姫様も周囲の人々もいちいち大変そうで、読んでいてご苦労様と労いたくなった。彼女の夫になる王太子など、そのうち心配で頭がハゲるか胃に穴があくかもしれない。

 

おまけの掌編でも、他国を表敬訪問中に、不良王子に捕まっていたのは、さすがに気の毒すぎた。

 

筋を追って早読みしていると読み逃してしまうのだけど、王都の街並みの描写など、イメージがひろがって素敵だなと思った。

 

 

 「今世も、死亡フラグしかない王太子の婚約者に転生しました。」(鬼頭香月 著)

 

小説家になろう」で読んだ作品。書籍化もされているようだ。

 

ヒロインのニーナの境遇がDV的な意味で酷すぎて、好転の兆しが見えるまで、読み進めるのがつらかった。

 

17歳になった途端に婚約者である王太子に捨てられて殺されるという人生を6回も繰り返し、そのことをすべて記憶しているニーナは、7度目の人生では、無残に殺される運命を回避しようと決意する。

 

ニーナの人生は毎回少しづつ境遇が変わっているけれど、レオンに裏切られて殺されるという結末だけは、何をどうしても変わらなかった。しかもよくよく思い出してみると、レオンはニーナを愛しているとは一度も言ったことがなく、婚約自体が、ニーナの父親の出身国との国交樹立の材料にしようという政略的なものであるとしか思えなかった。

 

そこで7度目の人生では、自分から婚約破棄を申し出て生き延びようとするのだけど、いずれ裏切るはずのレオンは、なかなかニーナを手放そうとしない。

 

ニーナを取り囲む情勢は日に日に不穏さを増していき、いよいよ殺害されそうになったところで、突然ニーナは父親の出身国の手の物によって救出される。ニーナを手放すつもりのないレオンは、彼女を保護した他国と外交し、面会にやってくるけれど、従者としてついてきた者のなかにはニーナ殺害を目的としているものも交じりこみ、さらにはレオンに横恋慕している少女と、その父親までやってきてしまう。

 

彼らの入国を最初から拒絶していれば、ニーナは安全だったかもしれないのに、周囲の助言もあり、ここへきてようやくレオンがニーナに愛を告白するなどしたため、ニーナは彼らを拒絶して保身を図る道を選ばず、その結果、結局ニーナ殺害のイベントは現実化してしまう。

 

いろいろあって最終的にはハッピーエンドをむかえるのだけど、レオンの国の狭量で排他的な国民性がウザすぎる上に、ニーナのDV被害を知りながら守るすべもなかったレオンのダメっぷりに、読者として途中で愛想がつきたので、いっそこのまま他国の王家の姫として安全な暮らしを選んだらいいのにと思った。

 

それとニーナの両親も、実の娘がDV被害に遭っているのを身近で見て知っていたのに、なんで助けなかったのかと。ニーナを保護した他国の王族たちも、自信たっぷりに守る守るといいながら、押しかけてきた伯父がニーナに暴力をふるうのを止めていないし、殺害しようと刃を向けたときにも全く阻止できなかったし。

 

ニーナの不幸は、運命に翻弄されたというよりも、詰めの甘すぎる味方のせいだったように思えてならない。

 

 

「没落令嬢の幸せ農場  最愛の人と辺境開拓スローライフ」(結子 著)

 https://ncode.syosetu.com/n1961gh/

 

小説家になろう」で読んだ作品。書籍化はされていないようだけど(Amazon検索で見つからなかった)、完結していて、楽しく一気読みさせていただいた。

 

暴徒に両親を殺害され、燃え盛る屋敷から逃げ出した商家の令嬢ディアナが、以前から心を寄せていた庭師のレオンに命を救われ、彼の住む辺境の地で幸せをつかむという物語。

 

痩せて作物の育たないレオンの土地に、父親の遺した花の種をまき、次々と商品開発をして稼いでいくディアナの細腕繁盛記がお話の魅力ではあるけれど、ディアナの力はそれだけにはとどまらない。

 

レオンの過酷な生い立ちにまつわるトラウマの克服、レオンを虐待していた兄たちの根深い苦悩を解決し、親しい人々の家庭問題や心の問題を癒しつづけ、最終的には物語の発端となる内乱の原因だった、国王の政治力の欠如までをも補って、世界に平和をもたらしてしまう。

 

とくに、レオンの長兄であるゲオルグが抱えるディスクレシア(失読症) に、改善の道筋を与えたエピソードは興味深かった。

 

ハーレクインなど海外のロマンス小説と違って、日本のラノベでは、病気や障害、政治や民族紛争などの社会問題が取り扱われることが少ない。

 

読者がそうした要素を求めていないという、書き手側の判断なのかもしれないけれども、「大人の読者」はそうでもないと思うので、社会にあるさまざまな問題をもうまく取り入れて、刺激的で深みのある作品がラノベでも増えるといいなと、心ひそかに思っている。