湯飲みの横に防水機能のない日記

色々壊れてて治療中。具合のよくないときに寝たまま携帯で書くために作ったブログです。ほんとにそれだけ。

読んだ本メモ

こんばんは。

 

 

kindle unlimitedで読み放題した記録

 

「リストラ聖女の異世界旅 青春取り戻してやるから見てなさい!?」(柏てん 著)

(以下、ネタバレ込みの感想)…… 

 

異世界の王国に召喚されて、聖女として魔王を討伐したにもかかわらず、凱旋した主人公を待っていたのは、詐欺師の汚名と逃亡生活だった。ずる賢い国王は、最初から聖女を利用して処分する計画だったのだ。

 

あやうく処刑されそうになった主人公は、魔王討伐パーティの一員だった魔族の青年とともに、他国に脱出し、国王の陰謀のせいで無駄に失った青春を取り戻すための旅に出る。

 

主人公が目指すのは、故郷である現代日本に戻る方法を探すことと、念願の恋の相手を見つけること。

 

魔族の青年は、主人公が聖女として旅に出たばかりの頃に出会い、なぜか彼女に執着して魔王討伐のパーティに参加し、パーティ解散後も離れようとしなかった。

 

そのまま二人が恋仲になれば、いろいろと話は早かったのだけど、主人公は魔族の青年を旅の仲間としが思わず、魔族の青年のほうも、元々恋愛感情を理解する心を持たないため、関係は全く進展しない。

 

やがて主人公が、パーティの一員だった他国の王子に求婚されたり、異世界転移の研究に取り憑かれたマッドサイエンティスト的な魔術師(この人もパーティメンバーだった)に、元の世界に戻る方法を提供された上に魔族の青年と強制的に引き離されるなどして、二人の関係はこじれにこじれてしまい……

 

結果的には、決定的別離の直前に、お互いが自分の恋心を自覚して、ハッピーエンドを迎えるのだけど、聖女とともに魔王を倒した魔族の青年が次代の魔王になり、聖女である主人公はその妃になるという、不思議なところに落ち着いた。あ、主人公を罠にはめたバカ国王は、聖女を支持する諸外国によって闇に葬られたようだ。

 

異世界召喚もののお話は、召喚するの側の理不尽さ、身勝手さが、強制的に召喚される側(主人公)にとって、実質的ラスボスであることが多いように思うけれど、このお話では、特にそれが明確だったように思う。

 

召喚という名の拉致被害者である主人公が、元の世界に戻る選択肢を蹴って、恋の成就と結婚を選んだことは、お話の流れの中では自然だったし、彼女の場合はそれでいいと思うけれども、いきなり娘を失った家族の気持ちを想像すると、割り切れないものが読後に残る。そういう意味でも、聖女を召喚して使い捨てようとしたバカ国王は万死に値するけれども、消息不明で終わってしまったのが、いささか物足りなくはある。

 

理不尽な召喚の最たる作品といえば、「盾の勇者の成り上がり」(アネコユサギ 著)を思い出す。あの作品では、勇者を召喚して虐待までしたバカ国王は、徹底的に仕置きされた挙句、まともな心を取り戻していた。私は「小説家になろう」版を読んだのだけど、主人公はパートナーと共に元の世界と異世界を行き来して、両方の生活を並行して送ることができるような形になっていた。理不尽な拉致被害者で終わらないところまで書ききった作者さんの筆力に圧倒される思いだった。

 

 

 

「没落寸前ですので、婚約者を振り切ろうと思います」(夏目みや 著)


一応貴族だけど庶民寄りな性格のアリシアは、親が決めた婚約者であるリカルドがあまりにもハイスペックであるために、居心地の悪い学園生活を送っていた。

 

薬草オタクではあるものの、成績優秀とはいえないアリシアは、常日頃からリカルドに小言ばかり言われている上に、二人の婚約を妬む女子からイジメを受けることも多かったのだ。

 

さらに、リカルドとの出会いの思い出も惨憺たるもので、いきなり虫を突きつけられたり、魔法で髪の毛を燃やされたりと、ほとんどイジメっ子とイジメられっ子の関係のようだった。

 

そんな間柄だから、アリシアはリカルドに恋心を抱くどころではなく、むしろ自分は嫌われているのだと思い込んでいた。

 

そんな時、アリシアの父が、失踪した友人の大借金を背負い込んでしまう。両親が事実上夜逃げしたため、アリシアは学園の寮に入居することになった。

 

そんな事情だから、リカルドとの婚約は破棄されるものと思っていたのに、なぜかリカルドまで家を出て寮にやってきたばかりか、アリシアの隣室を押さえて、そこに入ってしまい……

 

三者の目から見れば、リカルドがアリシアにベタ惚れで超過保護になっているのが明らかなのに、アリシアだけがそれに気づかないという、すれ違いのもどかしさが楽しい作品だった。アリシアの個性的な友人たちや、途中から関わってくる王子など、面白いキャラが何人もいるのに、あまり活躍せずに終わったのがもったいないな思ったら、続編が出ているようだった。残念ながら読み放題ではないようだけど、いつか読みたい。

 

 

小説家になろう」で読んだ短編

 

漫画サイトの広告で、悪の華道を行きましょう」という作品がたびたび表示されるので、気になっていたのだけど、「小説家になろう」で原作の短編を見つけたので、すかさず読了。(真冬日 著)

 

短いけど、強烈なお話だった。

 

設定はよくある悪役令嬢転生もの。

ゲームの世界に転生してしまった主人公は、運命のヒロインと出会ってしまったバカ王子に婚約破棄された上、ハゲデブのスケベオヤジとして名高い宰相と強制的に結婚させられるという、最悪の仕打ちを受ける。

 

ところが、前世で筋金入りの老け専だった主人公にとって、それは究極の「理想の結婚」だったのだ。

 

夫の加齢臭を嗅いでは狂喜し、薄くなった頭髪に萌えころがり、メタボな体を愛おしく思うものの、早死にされることを恐れて熱心にヘルシーな食事を勧め……という具合なので、夫である宰相も妻を深く愛するようになる。

 

バカ王子と婚約したヒロインは、悪役令嬢だった主人公をさらに不幸にするために、王子を操って宰相を政治的に失脚させようと目論むのだけど、もともと王国の実権を握っていた宰相は、王子とヒロインをまとめて他国の女王(勢力旺盛なバイセクシャルらしい)に売り飛ばし、一件落着。

 

いつかマンガのほうも読んでみたいけど、まだAmazonの商品リストにはないようだ。いつか読み放題に入るといいな…。