記憶
美容院で待ち時間に読んでいた女性週刊誌に、芥川賞受賞作の「百年泥」という小説が紹介されていた。
その紹介文がすごく興味深かったので、どうしても読みたくなって、髪の毛を赤外線であぶられている間にiPhoneで書名のメモまでとって、「うん、覚えた!」と確信を持っていたにもかかわらず、Amazon Kindleで探すときに疑いもなく「千年泥」と検索窓に入力たら、どこにもそんな本はないとAmazonに切り捨てられたので、驚天動地の思いでGoogleで調べたら、出てくるのは中上健次の「千年の愉楽」。
これは絶対に自分が間違っていると思ったけど、その時点で書名をメモしていたことは完全忘却していたので、自分ならどう間違うかと推測して、1000を10で割ったり10かけたりして書名を微調整した上で、再度検索してみたら、10で割ったほうで当たりだった。
で、ちょっと読み始めてみた。
主人公の女性が、ろくでもない男に勝手に名前を使われて、多重債務を背負ってしまい、その返済のために元夫に金策の相談をしたところ、南インドのチェンナイに日本語教師として派遣されることになる。
そこで百年に一度と言われる大洪水に遭遇するところまで読んだ。つまり、ほとんど冒頭部分。
すごく面白いのだけど、なんだか最近似たような始まりの小説(恋愛ラノベ)を読んだなと思い出し、でも書名がちっとも思い出せないせいで、そっちが気になってしまったので、「百年泥」を中断してラノベの読書記録を漁っている。
で、見つかった。これだ。
この話のヒロインも、元彼に作られてしまった闇金の借金を返済しようと、未知の世界に飛び込んでいたけどインドじゃなかった。そして出会ったヒーローがスーパー敏腕税理士だったので、詐欺師の元彼を締め上げ、不当な借金を全部片付けてしまっていた。
でも芥川賞受賞作は、きっとそんな風にはならないだろう。出て来たのはスーパーヒーローじゃなくて、インドの泥だし。
絵
忘れないようにメモ。
昨日、とある場所で、女性を描いた絵が飾られているのをみた。
それは写真のように写実的な絵で、飾られていたのはオリジナルではなくて絵の写真だったけど(ややこしい……)、どうしてなのか、とても印象的で忘れられなくなりそうなので、家に帰ってから調べてみた。
第93回白日会展、内閣総理大臣賞に鷺 悦太郎≪タブリエ≫ | Art Annual online
岩手県の陸前高田市の鷺悦太郎さんという方の、「タブリエ」という作品だった。私が見た絵は、昨年、大きな賞を受賞されている。
別のサイトに、陸前高田のアトリエにあった二百点もの作品が、あの地震のときの津波で流されてしまったとあった。
どれほどの痛手だったかと想像するのも怖ろしいけれども、その災禍のあとに描かれた絵が、私のように美術鑑賞とは縁の薄い者の目にも入って、感動を引き起こすほどの力を持つのだから、創作をする人の心は本当に強いものだと思わずにはいられない。
(私も、下手くそなデッサンの練習、もっと頑張ろう。今週は絵画教室だ…)