風邪が治って、なんだか気が抜けていた。
体力はじわじわと戻っている。
頭の調子もまずまず。
今日は、二本、映画をみた。
ナチスが台頭している第二次世界大戦直前のドイツで、逃亡中の共産主義者の夫婦が、娘を里子に出した。娘は、亡くなった弟の写真をはさんだ本を持っていた。それは弟の埋葬の時に墓場で盗んだ、埋葬人の手引書だった。
文字の読めない娘に、養父は読むことを教えた。娘にとって、本を読み、文字を綴ることは、生きることそのものになっていく。
ナチスの焚書行事に参加させられた娘は、燃え残った本を一冊、密かに持ち帰る。それはH.G ウェルズの「透明人間」だった(と思う)。
娘が本を持ち帰るのを見ていた町長の妻は、本好きだった亡き息子面影を娘にみたのか、可愛がって蔵書を読ませてくれるようになる。
やがて養父母はユダヤ人の青年を一人匿うことになる。青年が瀕死の状態だったとき、娘はずっと枕元で本を朗読して心を支え続ける。青年はヒットラー総統の本を持っていたが、それを白ペンキで全て塗りつぶし、物語を書き込むようにと伝えて娘に送る。養父母と娘は命がけでナチスから彼を守ったけれども、やがて匿いきれなくなり、青年は彼らの家から旅立っていく。
空襲で町が破壊され、娘は生き残ったものの、心の通じ合った養父母も、親友も、みな死んでしまう。再びみなしごになった娘を助けたのは、町長の奥さんだった。
そして終戦。成長して働く娘の元に、ユダヤ人の青年が無事に帰ってくる。
物語の語り手は、戦争中に両陣営のためにもっとも働いた人物、つまり死神だった。彼は娘の行く末になぜか興味を持ち、ストーカーよろしく、人生の成り行きをチラ見し続けていたらしい。たぶん本好きだったのだろう。そんなストーカーに憑かれながらも、娘は90歳まで生き、晩年は家族に囲まれて幸せだったようだ。
けれども映画ではわからないところがたくさんあるので、ベストセラーだという原作小説もそのうち読んでみようと思う。
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