なんだかすごい漫画を読んだ。

ふんばれ、がんばれ、ギランバレー! (ワイドKC モーニング)
- 作者: たむらあやこ
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2016/04/22
- メディア: コミック
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たむらあやこ「ふんばれ、がんばれ、ギランバレー」。
ギランバレー症候群が、自己免疫系の問題で突然に身体が動かなくなる病気である、ということは、一応知識として知っていた。
でも、それだけでは、この病気のことを、何も知らないのと同じだと、この作品を読んで気づかされた。
作者を襲ったギランバレーは、長期間に渡って、とてつもない苦痛を伴うだけでなく、予後も良くないタイプのものだった。
漫画のなかでは、表現を軽くしてあるのだと思うけれども、その苦痛や絶望感は、並大抵のものではないことは、十分に伝わってくる。
ある日突然に、仕事ばかりか、食事や排泄といった基本的な生活スキルも根こそぎ奪われて、先の見通しも持てないまま、ただただ病院のベッドで激痛や吐き気に耐えなくてはならないとしたら、私だったら心なんかボキボキ折れて、なかなか回復できないだろう。
まして、少し良くなってきた時に、信頼する主治医から、これ以上の回復は見込めないと宣告されたなら、その先の人生をどう生きるかなんて、すぐにはとても考えられないと思う。
でも作者が人生に立ち向かおうとする意志は、その壮絶な闘病と、酷い宣告をテコにして、迷うことなく大きく動きはじめたのだ。
支えるご家族にとっても、心身ともに大変な試練だったことだろう。私自身も十数年来、難病の子どもの親なので、その切なさ、キツさは身にしみて知っている。
我が子の苦しみは、否応無しに親の人生をも変質させる。家庭を崩壊させてしまう親も、少なくない。だけど作者のご家族は、見事に連携して乗り切っておられる。
とくに作者のお父さんの変貌ぶりはすごい。賭け事で大借金を作って、身内に迷惑ばかりかけてきた身勝手な人だったそうだけれども、娘さんの苦境に号泣し、ギャンブルをきっぱりやめて、自宅のバリアフリー化を自力で実現するほどになってしまうのだから。
作者やそのご家族と同じくらいすごいのは、この作品だ。読むとなぜだか元気がでてしまうのだ。活性化してしまうとでもいうのだろうか。不思議なエネルギーをもらってしまった。
絵も好きだ。
気持ちのわかりやすいギャグ風の絵だけでなく、時折出てくる、濃い感じの妖怪(?)みたいなのとか、ガイコツとかが、すごくいいなと思う。
食事もできない、文字も書けない状態から、病気の痛み以上に、気の遠くなるような努力を重ねてきた作者に、深く感謝したい。
その稀有な努力と、勇気と、あきらめない強さがあったから、私もこの作品を読むことができたのだから。
ここのところ頭(鬱)も体も不調続きで、下降気味だったけど、ちょっと持ち直したかも。