湯飲みの横に防水機能のない日記

色々壊れてて治療中。具合のよくないときに寝たまま携帯で書くために作ったブログです。ほんとにそれだけ。

映画「世界一キライなあなたに」を見た

 

Amazonプライム・ビデオで、また映画を一本見た。

 

 

 

 

ブコメディのように見える写真だけれど、そうではなかった。

 

ネタバレ御免モードで感想を書く。

 

 

 

 

 

ヒロインは田舎に暮らす二十代後半の女性。エキセントリックな服の趣味と、溢れんばかりの笑顔が大きな魅力だけれど、学歴や職業的スキルを得る機会を逃したまま、失業中の父親に代わって、喫茶店のアルバイトで家計を支えている。

 

ところが、喫茶店が突然閉店してしまい、ヒロインは僅かな退職金を貰って失業。困り果てたところに、事故で肢体不自由となった男性の世話係という、期間限定の仕事を紹介される。

 

 

男性は、事故に遭うまで、誰からも憧れられ、羨まれるような人生を送っていた。けれども一瞬にして輝かしい人生を失い、こころを閉ざし、裕福な両親の庇護のもと、苦痛と怒りと絶望に満ちた日々を過ごしていた。

 

障害者と介護者という立場で出会った二人は、最初のうちは、男性の皮肉で底意地の悪い態度のために、まったくうまくいかなかった。

 

けれども、ヒロインの率直で豊かな感情が、男性の閉ざした心をぐいぐいこじ開け、やがてお互いを理解して、真に支え合う関係へと近づいていく。

 

映画のあらすじを全く知らずに見ていたので、当然のように、ハッピーエンドを期待した。夢物語でもいいから、希望を見せてほしいと思った。難病児と重度障害児の親を長年やってるから、ハッピーにならない現実なんて、いくらでもあるのを、実際に見て、知っている。

 

 

だけど、この映画が提案した結末は、私がまだ見たことのない、極めてつらいものだった。

 

 

ヒロインを深く愛し、彼女の人生を真摯に思うことで、本当の意味での生きる喜びを見出した男性は、それゆえに、スイスでの合法的な安楽死という道を選びとり、それを実現して、この世を去っていく。

 

 

この映画のストーリーには、賛否両論が巻き起こったという。無理もない。重度障害者の安楽死を認めるかどうかは、あまりにも重く、デリケートな問題だ。おそらく誰にも結論は出せないだろう。

 

 

男性が安楽死しなかったとしても、その人生の残り時間がそんなに長くはなかっただろうことは、作中で丁寧に描写されている。

 

けれども、自力で自殺することのできない状況の人に対して行われる安楽死となると、いかに本人が望んだことであろうとも、話はまったく違ってくる。ヒロインの母親が怒りを込めて断言していたけれど、そこには明確に「殺人」の意味合いが含まれてくるからだ。

 

 

本人の意志と、人としての尊厳を守るために、最も親しい人を「殺す」という行為に同意することを、一体どれほどのひとが耐えられるだろうか。

 

 

少なくとも、この物語のヒロインは耐え切って、最愛の人の思いを受容し、彼の願うように、自分を最大限に生かすための人生へと歩みを進めていく。そういう意味では、この映画はハッピーエンドだろうけれど。

 

 

 

きつい。

つらすぎる。

 

 

我ながら、よく最後まで見られたなと思う。

 

 

 

うーん。

ホットミルクセーキ、作って飲もうか。

 

 

(;_;)