夕食はパスタ屋で食べた。
料理が来るまで退屈なので、子供たちの写真を撮っていたのだが、カメラを向けても、長女さん(10歳)が、ふやけたモアイみたいな顔をしたまま、ちっともレンズの方を見ない。
「撮ってるんだから、その顔、もう少しどうにかなんない?」
「だって、ロン毛がいるんだ」
「はあ? どこに」
「あっちに」
どうやら、私のすぐ後ろに「ロン毛」の客が座っているらしい。しかもその「ロン毛」の方は、何かが少しヘンであるらしい。
長女さんに言われて気づいた亭主までが、微妙な顔で観察を始めた。
私も見てみたくてたまらなかったのだが、わざわざ後ろを向いて見るわけにもいかない。
食べ終わるまで我慢して、レジに行く途中、なにげないそぶりで問題の「ロン毛」氏に視線を走らせた。
ゆるいウエーブのかかった、腰まで届きそうな美しい黒髪。
色白で細面の、わりと普通の顔。サラリーマンっぽい、ブルーグレイの普通のスーツ。
そして、おそらくご本人の想定外と思われる、青々しいヒゲのそりあと。

「ロン毛」氏は、いかにも「美しいボクを見て」と言いたげに、しきりと髪をゆすったりかきあげたりしながら、ナルシス系の電波を振りまき談笑中であった。
ものす~ごくヘンなわけではないが、パスタ屋の空気は、そこだけ断層が出来ていた。
店の外に出たとたん、長女さんと私は爆笑。
そのまま家まで笑いがとまらず、いまだに涙がにじんでいる。
長女さんが「ロン毛、日記にかけば?」というので、書いてみた。
✴︎過去日記を転載しています( 転載日…2026年1月4日)
✴︎画像はCopilot に作成してもらいました。