ミエリン鞘というのは、神経を取り巻いて、絶縁体の働きをしているもの。うちの息子は、どういうわけかこのミエリン鞘の形成があんまり良くないため、大脳の表面にしわがあんまりないのだという。
物理は苦手だけど、電線が絶縁されず、むきだしになっていたら、電気の流れる効率がずいぶん悪くなるだろうということは想像ができる。電話線なら、話が混線して大変だろう。
息子が混乱した生活を送らなくてはならない理由の大部分は、この、大脳のミエリン鞘の形成不全に由来するのかもしれない。
病院では、こういう状態を治療することは普通無理、と言われた。
でもネット上には、脳のミエリン鞘を育てる話やその方法が、山のように流れている。それは、ビタミンB系や必須脂肪酸などの摂取である。
昨年後半あたりからサプリ類を珍味の一種と心得るようになった息子は、いまでは、DHAのカプセルを口に数個まとめて放り込み、ぐっちゃぐっちゃと噛み割って味わうようになってしまった。
知ってる人は知ってると思うけど、DHAのサプリは、半透明の分厚いカプセルになっていて、その中に、世にも生臭い液体が充填されている。
それは喩えて言うなら、油はのっているけれど鮮度のよくないナマのサンマを、冷えない冷蔵庫でほとんど腐敗寸前まで放置してから刺身で食べたような味のものである。
私はこれを味わったあと、二週間ほど、魚の顔を見られなかった。
マジメな話、金魚の写真見ても吐きそうだった。
だから、母親として情けないとは思うけれど、DHAのサプリを飲んだ直後の息子には、近づかないことにしている。吐息一発でノックアウトされるからである。
その(臭気の)強烈なサプリ療法が奏効するかどうかは、あと数年たたないと分からない。
少しでも効いてくれることをひたすら願うばかりである。
(2005年04月27日)