(2005年12月01日)
今日は小学校の持久走大会。
重役登校の長女さん(9歳)を家に残して、朝から息子(7歳・重度自閉症)の応援に行ってきた。
いや~な予感を抱えつつ……
予感は的中。
息子、スタートして三歩も進まないうちに、走行拒否。先生が二人がかりで引きずっても、足を踏ん張ってびくともしない。
どうなることかと思っていたが、他の子供たちがグラウンドを二周して、校庭の外に出てしまってから、ようやくトコトコと走り出した。
どうやら、学年男子全員で走るっていうのが、どうも癪に障って、走る気にならなかったらしい。
結局、男子全員が町内一周から戻ったあと、だいぶたってから、先生に手を引かれて校庭に現れた。もちろん、どんじりである。ギャラリーの盛大な応援と拍手を一身に受けて、優勝ランナーの如く、ニコニコしながらゆったりとゴールした。
子供たちが整理運動をしている間、私は知り合いのお母さん方から激励の言葉を頂戴しまくっていた。
「Hくん、ちゃんと完走できたもん。すっごく偉いよ!」
「楽しそうに走ってたよねー。よかったねー」
ほんとに、完走できたのはよかったと思う。
途中棄権じゃ、他のお母さん方も、私にかける言葉がなかっただろう。
持久走大会は、毎年恒例の行事である。
つまり、これを、卒業まであと四回もやるのである。
やれやれ……
まあ、惨憺たる結果ではあったけれど、いろいろと進歩した点も、なくはなかった。
去年は、競技が終わったあと、私の顔を見たらパニックになってしまって、泣き叫んで落ち着かず、大変だった。やはり大勢の人が見ている中で走るというのは、かなり神経に堪えるのだと思う。
今年も着替えが終わってから、ランドセルを背負って身支度をし、私と一緒に家に帰ると強く主張した。
けれどもパニックにはならず、ちゃんと我慢して、上級生について走っていた担任の先生が戻ってくるまで、教室で自習することができた。
大勢の子供たちのなかでの走行拒否も、見方を変えれば、自分の意志をきちんと表明したのだとも言える。
本人としては、たぶん、ふざけていたのではないのだと思う。親たちの応援で騒々しいなかで走るのは辛いから、できれば一人で走りたいのだと、言葉を使って言えれば、知覚過敏のひどい自閉っ子の言うことなのだから、誰もが納得しただろう。
その点、ただ流されて引きずられるようにして走っていた去年とは、ひと味違うと私は見ている。
みんなと同じことができないから「失敗」というふうに思ってしまっては、息子の進歩は見えにくいのだ。
(過去日記を転載しています)