2005年09月29日
息子(7歳・重度自閉症)校外学習に付き添って、駅見学に行ってきた。
ある程度覚悟はしてたけど、難行苦行でありました…
いや、息子は、よく耐えてがんばったのである。
ただ、ホーム見学になって、頭の真上でBOZEのスピーカーから列車到着のアナウンスが流れた瞬間、キレた。耳塞いで超音波入り悲鳴をあげて、入ってきた電車に飛び乗ろうとしたので、引きずってホームから退場。
そのまま改札前でみんなが戻るのを待つことにしたのだが、息子はカンシャクを押さえきれず、私を叩いたり蹴ったりして暴れた。早く帰りたかったのだろう。
こういうときには、口で何を言ってやっても、あか坊の耳は受け付けない。
それで指をとって、「まつ」「えき」「すこし」などと、空気に文字を書いてやった。そしたら、不思議なほど落ち着いた。
そういえば、一緒に行動した普通学級の子のなかに、どうもアスペルガー症候群っぽい子がまじっていた。ものすごくおもしろい子で、クラスのなかでは周囲に合わせた行動ができず、かなり迷惑な存在として持て余されているらしいのに、本人は一向に気にせず、完全にマイペースで動いていた。
彼は自分が所属しているはずのグループも分からないらしくて、一人でぽつんとしていたのだけれど、うちの息子を一目みると、すすすっと寄ってきて、肩をぽん、と叩いてにっこり笑った。同類と感じたのだろうか。
それからずっと、その子は息子の近くにいて、モノレールについての相当にオタクな知識を延々と披露してくれた。
息子はもちろん聞いていないし、私でもついていけないような話だったのだけれど、その子は一向に気にしていない様子で、機嫌良く話し続けていた。
私にとっては楽しい出会いだったけれど、彼の資質を、親御さんや、先生方は、ちゃんと把握しているのだろうかと、気がかりだった。なにしろ表面的には、まるっきり「ダメな子」である。クラスの子たちも、彼には冷たい言葉ばかりかけている。
「なによあんた、自分の班もわかんないの? 誰と一緒なのか、覚えてないの?」
「なんでちゃんとしないんだよ。ふらふらするなよ」
「カバンの蓋くらい、閉めてあるけよ」
「お前、ここの班じゃないだろー?」
おそらく日頃、自分の役割など分からないまま放置して、相当に迷惑をかけているのに違いない。クラスの子たちの言葉の端々に、そういう苦々しさがにじみ出ていた。
でも、彼は決して頭は悪くないし、ワガママなわけでもないのだ。ただ、自分の興味の向かないことが、よく把握できないだけなのだ。たとえば、他人の気持ちとか立場とか、集団の中での自分の位置づけとか、他人が自分に何を期待しているかとか……
さて。
あと1時間で、息子の歯科診療に行かなくては。
今日は、二本抜歯の予定。乳歯が抜けないのだ。もうすぐ八歳なのに、まだ一本も抜けていないうえ、先に永久歯が生えてきてしまった。
抜歯となれば、拘束ベルトで体を固めて、三人がかりでおさえつけて……という治療になる。
息子はまた涙流さずに泣くのだろうか。
見ている私もつらいのだが、歯をしっかり治療してやらないと、いずれ困るのは息子だから、乗り切るしかない。
⭐︎過去日記を転載しています。
⭐︎転載日…2024年12月18日。