2005年07月28日
子育てをするようになって、口コミで耳に入る近隣の情報がいかに大事であるか、身に沁みて感じるようになっている。
「あそこの小児科は誤診が多い」
とか、
「あの辺の道に、子供狙いの不審者がときどき出る」
とかいうような、子供の安全にかかわるような情報は、新聞にもネットにも載っていない。井戸端コミュニケーションに参加して入手するしかないのである。
尾ひれ背びれがついていることも多いのだろうけれど、大部分は実体験が情報元なので、役に立つことが多い。
そんな情報のなかに、伝聞に伝聞を重ねて伝わってきたらしい、奇妙な情報がまじっていることがある。
「○○○○のトイレで、幼稚園の女の子が暴行されたらしい」
伏字部分に入るのは、郊外型大規模スーパーの店名である。
情報内容は、不思議なほど具体的で、微に入り細にわたりグロテスクなほどの描写を含み、まるで目撃者の証言をそのまま伝えたかのようなのだけれど、情報元を確認すると、
「知り合いの友だちのいとこが、どこかの幼稚園の園長さんから聞いた話らしい」
というようなのだったりする。
ちなみに私が聞いたのは、
「五歳の子が、親の目の離れた五分ほどの間にトイレで暴行されて、子宮の破裂などを含む回復不能なほどの怪我を負ったけれど、子供の将来を案じた親が、警察に訴えなかった」
という、すさまじいものだった。
警察にも言わないような話が、どうして町の井戸端まで伝わってしまうのか。ほんとに捜査もされていないのだろうかと、不審に思いつつネット検索をかけて調べてみたところ、なんと、そっくりな話が、全国各地いたるところで囁かれているらしいことが分かった。
これは、新手の都市伝説というやつなのだろうか。
もしかしたら、大元になる事件は、どこかで存在したのかもしれない(そうでないことを心から祈るけれど)。それがあまりにも悲惨な話なので、漏れ聞いた人の心に負の気持ちを感染させていき、あちこちのスーパーのトイレで起きた「実話」として、一人歩きしていったのだろうか。
YAHOOのニュースによれば、今日は、愛知のイトーヨーカドーのチャイルドスペースで起きた殺人事件の公判があったらしい。一歳の誕生日を迎える直前だった赤ちゃんを刺し殺した犯人は、公判中に証人の女性を殴り倒したそうである。
悪夢のような都市伝説が具現化したような犯人の行動に、ただただ、寒気を覚える。
一人歩きをしている「伝説」には、耳を塞ぎ、口をつぐむべきなのだろうか。
それとも、何かが起きる予兆とでも受け止めて、胸の中のメモ帳に書き留めておくべきか。
重い気持ちのまま、決めあぐねている。
⭐︎過去日記を転載しています。
⭐︎転載日…2024年12月19日。