夕方、息子の療育教室だった。
レッスン終了後、先生と、ちょっと長めに面談した。
息子が最近、わざと課題に成功しないようにする傾向が強くなっているらしいのだ。
その理由は、どうやら、
「成功するよりも、失敗することのほうが、慣れていて、安心できるから」
であるらしい。
四択の課題では、何度やりなおしても、正解のカードだけは、きっちり避けて、決して選ばないという荒業を見せたりするという。
息子だって、決して成功が嫌いなわけではない。その証拠に、何かに挑戦して、うまくいくと、とてもいい表情をする。歓声を上げることだっある。だから、百パーセント成功するという自信が有るときには、堂々と成功させてみせる。
けれども、その自信が、百パーセント以下のときには、「もしかすると成功しないかもしれない」という不安が大きなストレスとなって、息子の内面を圧迫する。そうなると、息子はストレスら耐えられず、わざと「確実に失敗する方法」を取ることにしてしまうのだ。
自閉症の子は、見通しの立たないことをひどく嫌う場合が多い。何が起こるかわからないという不安に堪えることが難しいのだ。
だから息子も、百パーセント成功するという見通しのないときには、確実に失敗すると分かっている方を、わざと選んでしまう。
困ったことに、練習すればするほど、失敗する回数も増えていく。次第に上達はするけれど、息子の記憶のなかで、失敗した経験が薄れていくことはなく、その回数が増えれば増えるほど、失敗は、心になじみ、存在感を増していく。これでは、練習することが、かえって失敗を呼び込むことになってしまう。
どうしたもんですかねえ、と、先生と二人考え込んで、結局今日は結論がでなかった。
しかし、息子が、人生の失敗街道を進み続ける前に、なんとか手をうたないわけにはいかないので、相談の上、当面は、息子に、失敗体験を積ませないように、できる限りサポートしつつ、かつ、依存心を強めないよう、できる限りサポートされていることを本人に悟らせないように配慮しながら、成功をたっぷり味わわせる、とはいうものの練習が多いと結局失敗回数も増えるわけだから、なるたけ練習はしないようにしよう・・・
なんていう、こむらがえり起こしそうな目標を掲げることにした。
(2005年06月10日)
※過去日記を転載しています。