厄介事というものは、まとめてごっそりやってくることになっている。
息子(5歳・重度自閉症)の通う幼児教室で、とうとう、幼稚園入園を勧められた。息子の成長を見て、入園が望ましいという判断をされたのだと思う。だから、喜んでしかるべきことなのだと思うのだが・・・・・・・。
正直、頭が痛い。
長女さん(6歳)の通う幼稚園には、以前打診して、断られた。もう一度頼んでみたらと、幼児教室から勧められたが、気が進まない。
先月、長女さんのクラスの先生に会う機会があり、息子もいっしょに教室に入れてもらったことがあった。息子は幼稚園が大好きだから、おおはしゃぎして、ぷっつんして、教室中を走りまわり、先生のお道具箱から、よりによってハサミと目打ちを引きずり出して、手に持って走りまわろうとした。かろうじてそれを押しとどめると、こんどは、水栽培の球根が根を張ったガラス瓶の水を、一気飲みしようとした。長女さんの担任の先生も、私と一緒に息子を追いかけまわしていた。
それが、つい一ヶ月前のことである。
「こんな息子ですが、よろしくお願い・・・・できませんでしょうか」
と、にっこりわらって言う勇気は、ちょっとない。
ほんとうに幼稚園に入れるとなったら、これからすぐに、あちこち電話して、「言葉の遅れのある年長児」を入れてくれるかどうか、当ってみなくてはならない。「ハサミと目打ちを持って走る傾向がある」ということも、伝えるべきかどうか・・・・・・。
どこかで集団生活を経験する必要があるのは、分る。
けれども本音を言えば、いますぐには幼稚園には入れたくない。せめてもう少し、経験と時間がほしい。
もうひとつ本音を言えば、あちこちの幼稚園に打診して、断られまくるのも、精神的にしんどいことである。
まあ、「全部断られちゃったんだから、入れなくていっかー」と、開き直るという道もあるわけだが。
煩悶しながら、教室からの帰り道、車を走らせていたら、エンジンルームあたりで、
ぱすっ、ぷす、ぷすぷすっ
という音がした。アクセルを踏み込んでも、車に力が入らない。バックミラーを見ると、おしりのほうで、みょーなケムリを吐いている。音はだんだん大きくなり、スピードはますます遅くなった。
ぽんぽん ぼんぼん ぼぼっ ぼーん
家まであと1キロというところで、どうがんばっても二十キロ以上のスピードが出なくなった。
後続車に道をゆずりつつ、だましだまし走らせて、しまいには時速5キロというスピードで、なんとか家の車庫までたどりついたものの、キーを抜く寸前に、
どっかーん
と、車体をゆるがすほどの爆発音がした。
どう考えても、壊れている。
これから春まで、フル回転で訓練やら療育やら、走りまわらなくちゃならないのに。
来週だって、めちゃくちゃ忙しいのに。
修理工場に電話して状況を話したら、お悔やみを言うような口調で応対された。
息子まで、車を降りるとき、お焼香するひとのような顔をしていた。
しんきくさいったら、ありゃしない。
爆発音だけは、やたら景気よかったけど。
あーあ。
(2003年1月16日)
※過去日記を転載しています。