湯飲みの横に防水機能のない日記

色々壊れてて治療中。具合のよくないときに寝たまま携帯で書くために作ったブログです。ほんとにそれだけ。

古典

夢の歌(古今和歌集・在原業平)

惟喬のみこの許(もと)にまかりかよひけるを、かしらおろして、小野といふ所に侍りけるに、正月(むつき)にとぶらはむとて、まかりたりけるに、比叡の山の麓なりければ、雪いと深かりけり、しひて、かの室にまかりいたりて、をがみけるに、つれづれとして…

夢の歌(古今和歌集・小野小町)

題しらず 小野小町 思ひつつぬればや人の見えつらむ夢と知りせば覚めざらましを (古今和歌集 巻第十二 恋歌二) 【意訳】 あの人のことを思いながら眠ったから、姿が見えたのだろうか。夢だと知っていたなら、目覚めずにいたのに。 (_ _).。o○ とても有名な…

夢の歌(古今和歌集・紀貫之)

「夢」にテーマを絞って、和歌を集めてみようと思い、まず「古今和歌集」で探してみた。 山寺に詣でたりけるによめる 紀貫之 宿りして春の山べに寝たる夜は夢のうちにも花ぞ散りける 【意訳】 春爛漫の山の宿で眠った夜には、夢の中でも花びらが散り乱れてい…

大原富枝「建礼門院右京太夫」

前から読みたいと思っていた、大原富枝「建礼門院右京太夫」がKindle Unlimited(読み放題)で利用できるのに気づいて、さっそくダウンロードして読んでいる。 建礼門院右京大夫 (講談社文庫) 作者:大原富枝 講談社 Amazon 冒頭、著者らしき女性が、モンペ姿…

「鎌倉殿の13人」(39)穏やかな一日

NHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」第39回「平穏な一日」を視聴した。 このドラマに「平穏」な一日があると言われても、全く信用できないと思いながら見始めたけれども、予想通り、不穏なフラグが立ちまくっている回だった。 まず、和田合戦フラグ。 和田義盛(横…

「鎌倉殿の13人」(38)時を継ぐ者

NHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」第38回「時を継ぐ者」を視聴した。 北条時政が、実朝を排して平賀朝雅を新将軍に擁立しようとしたという「牧氏事件」のクライマックスの回だったのだけど、この事件、なんだかよく分からないところがある。 「吾妻鏡」は、この…

「鎌倉殿の13人」(33)修禅寺

NHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」第33回「修禅寺」を視聴した。 鎌倉幕府にとって排除すべき異物と成り果てた頼家は、修禅寺に追放されたのち、元久元年(1204年)7月18日、北条に駆除される形で最後を遂げた。 この事件について、「吾妻鏡」はこんな風に書い…

今日のテキスト(5)枕草子 第二段「頃は」

頃は、正月、三月、四・五月、七月、八・九月、十一月、十二月、すべて折りにつけつつ、一年(ひととせ)ながらをかし。 【現代語訳】 季節は、正月、三月、四・五月、七月、八・九月、十一月、十二月、すべてその折々にて、一年中、趣きがあります。 川瀬一…

「鎌倉殿の13人」(30)全成の確率

NHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」、第30回「全成の確率」を視聴した。 見る前から、サブタイトルがとても気になっていた。阿野全成(新納慎也)の退場回なのは想像がつくけれど、「確率」って一体なんなのかと。 どうやら、全成の法力(ほうりき)が発動する確…

今日のテキスト(4)古今和歌集

ほととぎす なくやさ月の あやめぐさ あやめもしらぬ こひもするかな 読人しらず 古今和歌集 巻第十一 恋歌一 469 【なんとなく意訳】 ホトトギスの鳴く五月。 咲き乱れるあやめの花。 そんな季節に、私は、文目(あやめ)を見失うほどの狂おしい恋をしてし…

今日のテキスト(3)和歌

お友だちに、楽しくて元気があって夏っぽい和歌を探してほしいというリクエストをいただいたので、いろいろ眺めて、とりあえず四首選んでみた。 夏山の木末(こぬれ)の茂(しげ)に霍公鳥(ほととぎす)鳴き響(とよ)むなる声の遥けさ 大伴家持 (万葉集 1…

今日のテキスト(2)「清少納言を求めて、フィンランドから京都へ」

昨日の午前中、病院の待合室で読んでいた本からの引用とメモ書き。 六月半ばのこと、すべてを呑み込んでしまうような暑さ。涼しい気分に少しはなれるたった一つの方法は、池の蓮に目をやること。 建物がとても古くて、瓦葺きだからなのか、夜はたとえようが…

「鎌倉殿の13人」(28)名刀の主

「鎌倉殿の13人」の第二十八回「名刀の主」を視聴した。 「13人」のなかで最初に失脚するのは、梶原景時(中村獅童)だった。 正治元年十月、「忠臣は二君に仕えず」という結城朝光(高橋侃)のボヤきを聞きつけた梶原景時は(景時にチクッたのは善児)、それを謀…

「鎌倉殿の13人」(21) 仏の眼差し

「鎌倉殿の13人」の第21回「仏の眼差し」を視聴した。 義経が死に、平泉も滅びて、やっと鎌倉にひと時の平穏が訪れるターンかと思ったのに、序盤からきな臭さ満載の回だった。 北条時政(坂東彌十郎)と牧の方(宮沢りえ)の息子が誕生したのだけど、お祝いのた…

今日の一冊・北岡正三郎「物語 食の文化 美味い話、味の知識」

だいぶ久しぶりだけど、お気に入り本棚の11冊目。 北岡正三郎「物語 食の文化 美味い話、味の知識」(中公新書) 著者は農学博士とのこと。 歴史のなかの食べ物の話が、幅広く、しかも系統だてて「物語」のように書かれていて、大変楽しい。 平安時代、夏の…

「鎌倉殿の13人」(19)果たせぬ凱旋

第19回「果たせぬ凱旋」を視聴した。 頼朝と義経が完全に決裂してしまう回なので、ぐっさり心を刺される覚悟をして臨んだけれども、痛みよりも悲しみの勝る回だったと思う。 ドラマの中の義経は、無私の情愛や信頼を受け止める機会をことごとく逃しつづけ、…

「鎌倉殿の13人」(18)壇ノ浦で舞った男

先週日曜に放映された第18回「壇ノ浦で舞った男」を、一週間たった今日になってやっと視聴した。 前回「助命と宿命」での源義高の死が痛ましすぎた上に、食事や食べ物の出てくるシーンがなかったので心折れて、見る勇気を溜めるのに時間がかかってしまった。…

栗と爆乳(万葉集1745)

病院の待合室で「万葉集の食文化」という本を読んでいて、栗を詠んだ歌が目に止まった。 【目次】 「三栗の那賀に向かへる」の歌(万葉集1745) いつもの妄想意訳コント 「三栗の那賀に向かへる」の歌(万葉集1745) 三栗の那賀に向へる曝井の絶えず通はむそ…

万葉集・カラスのまぶたはなぜ腫れたのか

前回に続き、高宮王の怪しい歌について。 【目次】 高宮王の怪しい歌 つまらない現代語訳 語釈 婆羅門 意訳とは名ばかりの何か 高宮王の怪しい歌 波羅門の作れる水田(をだ)を食む烏(からす)瞼(まなぶた)腫れて幡桙(はたほこ)に居り (3856) 万葉集 巻第十六 …

万葉集・クサい人?

今回は、ちょっとにおいそうな歌。 【目次】 高宮王の屎葛の歌 【意訳とは名ばかりの何か】 高宮王の屎葛の歌 皂莢(そうきょう)に延ひおほとれる屎葛(くそかづら)絶ゆることなく宮仕えせむ (3855) 万葉集 巻第十六 作者は高宮王という人。 「王」とあるので…

「鎌倉殿の13人」(17)助命と宿命

先週の日曜日に放映された第17回「助命と宿命」を、先ほど見終わった。 キツい話になるのが分かっていたから、見る勇気を溜めるのに一週間もかかってしまった。 ドラマでは、頼朝は義時に木曽義仲の息子の義高(市川染五郎)の処刑を命じていたけれど、「吾妻…

万葉集・ウナギを勧める理由

【目次】 大伴家持が吉田連老に送った歌 【意訳】 吉田連老と吉田連宜 痩せていた理由 《意訳とは名ばかりの何か》 大伴家持が吉田連老に送った歌 痩せたる人を嗤笑(わら)ひし歌二首 石麻呂に我物申す夏痩せに良しといふものそ鰻捕り食(め)せ (3853) 痩す痩…

万葉集・紀女郎と大伴家持

上代グルメ探訪・・・・のつもりだったけど、どうも違う話になってしまった。 【目次】 紀女郎と大伴家持の歌 紀女郎と安貴王 真実の愛を引き裂かれて懊悩する安貴王の歌 紀女郎の心情 意訳とは名ばかりの妄想コント 紀女郎と大伴家持の歌 紀女郎、大伴宿禰…

万葉集・干しアワビと逆ナンと僧侶

【目次】 通観の作りし歌一首(「万葉集」巻第三 雑歌 327)と意訳 景行天皇がハマグリの膾を食べた「日本書紀」の記事 【なんちゃって書き下し文】 【大雑把な意訳】 意訳とは名ばかりのただのコント「僧侶と干物とシーモンキー」 通観の作りし歌一首(「万葉…

万葉集…山上憶良と奈良時代の中二病

長い記事なので目次をつけてみる。 【目次】 山上憶良の長歌「瓜食めば」と反歌 【ねこたま意訳】 詞書 【ねこたま意訳】 山上憶良が惑へる中二病患者に贈った歌 【ねこたま意訳】 意訳という名のコント 学校で習った万葉集の歌のなかでは、山上憶良の「子等…

「鎌倉殿の13人」(16)伝説の幕開け(歴史音痴と大河ドラマ)

第16回「伝説の幕開け」を視聴した。 サイコパスバーサーカー義経が主旋律となって駆け回り、北条の人々の人間らしい懊悩が安定のリズムを刻み、後白河と頼朝の陰謀めいた宿願が可聴域ぎりぎりのところで薄暗い重低音を流す。そんな感じの回だった。 ドラマ…

「鎌倉殿の13人」(15)足固めの儀式(歴史音痴と大河ドラマ)

第15回「足固めの儀式」を見た。 大変に、後味の悪い回だった。(´・ω・`) 時期的にそろそろだとは思っていたし、ツイッターで「#上総介ロス」等の文字列がちらちらと目に入っていたから、覚悟はしていたけど、上総介広常の亡くなり方の無惨さは、軽く想像を…

今日の一冊・井原西鶴「日本永代蔵」

お気に入り本棚の五冊目。 井原西鶴「日本永代蔵」暉峻康隆訳注 角川文庫 うちにあるのは、昭和四十二年に初版が出た角川文庫版(暉峻康隆訳注)。 奥付に、昭和六十二年 八月十日 二十一刷発行」とあるけれども、古本屋さんで買ったものらしく、最後のページ…

「鎌倉殿の13人」(12)亀の前事件(歴史音痴と大河ドラマ)

「鎌倉殿の13人」第十二回「亀の前事件」を視聴した。 時政の後妻の牧の方が、政子の権勢が自分を凌いでいくことへの嫉妬から、「後妻(うわなり)打ち」をやれとそそのかし、牧の方の兄(牧宗親)が政子の命を受けたという形で実行する。 牧の方としては、頼朝…

枕草子

ミア・カンキマキ「清少納言を求めて、フィンランドから京都へ」に引用されている、「枕草子」の現代語訳がとても面白いので、書き写してみた。 胸がときめくもの いい男が車を門の前にとめて、使用人にとりつぎを頼んだりしているとき。 髪を洗って、メイク…