湯飲みの横に防水機能のない日記

色々壊れてて治療中。具合のよくないときに寝たまま携帯で書くために作ったブログです。ほんとにそれだけ。

頭痛とヒッキーヒッキーシェイク

 

朝から軽い頭痛。
鎮痛剤飲むほどじゃないけど、地味に気が滅入る痛み。
首回したり肩もんだり、いろいろして、緩和を試みていたら、午後になって少しラクに。


( _ _ ).。o○


津原泰水「ヒッキーヒッキーシェイク」読了。
最初から最後まで、とにかく面白かった。
そして、泣けた。

 

 

ヒッキーヒッキーシェイク (ハヤカワ文庫JA)
 

 

 

竺原(じくはら)という、限りなく詐欺師に近い臨床心理士が、彼のクライアントであるひきこもりの若者たちに、胡散臭い「希望」のカードをちらつかせながら、ネットを使った壮大なペテンの仕掛けに巻き込み、ちょっと想像もできないような未来へと送り出す。


現実には、ほとんどあり得ない物語かもしれない。

 

竺原は、どこを見ても絶望するしかないような状況(だったと物語の最後まで読むと分かる)にあっても、そこに「希望」を見いだして、他人を巻き込みながら行動に移すことのできる、類いまれな天才である。

 

深刻な発達障害適応障害を持ち、さまざまな不幸な経緯から社会と関わることができなくなっている若者が、竺原のような希有な人物に出会い、その思惑に巻き込まれる可能性は低いだろう。

 

そしてまた、ひきこもる若者たちが、小説のなかの彼らのように、ギフテッド的な何かを持っていたり、極限状況で開花させた特異なスキルを秘めているわけでもないかもしれない。


でも、世間の「普通」にどうしても順応しない人のなかにこそ、竺原的な才能の要素が隠れているとも思うのだ。作中に書かれていたさまざまな問題の当事者として、そう思う。


うちの場合は、折々に、家族が相互に「プチ竺原」として機能していたように思う。
それは、小説ほどではないにせよ、小さな奇跡の数々ではあった。