マンガ
よくネットに広告を出すようなマンガアプリの"オススメ"作品は、センセーショナルで胸くそ悪い話が多い気がする。
そういうのが人気なのかもしれないけど、私は苦手だ。
ときどき気になって、お試し版などを見てしまうのだけれども、内容に本気で腹がたってしまうから、その怒りをはき出すために、誰かにあらすじを事細かに語りたくなる。あるいはブログやSNSにこれでもかというほど書きたくなる。私の腹立ちのフィルターを通すから、胸くそ要素が誇張されて、余計ひどい物語として人に伝わってしまう。
そうして二次被害をまき散らすのは世の中のためにならないから、いままでマンガアプリはほとんど使わずにいた。
でも、マンガアプリは、表に並んでいる"オススメ"作品をうまく避けて奥の方を探すと、いい感じの掘り出し物が見つかることもあるらしい。
お友だちの"オススメ"の「2kz」というマンガが、「ピッコマ」というマンガアプリで読めるというので、ひさびさにアプリをダウンロードしてみた。
座敷童と大学生の、不思議な共同生活のお話。
「2kz」は、「二部屋+キッチン+座敷童」なのだという。
胸くそ要素ゼロ。
ほんわかする。
(無料チケットが一日一回だけ届くシステムらしくて、まだ途中までしか読めていない)
他にもおもしろいのがないか、探してみよう。宝探しは大好きだ。
その途中で、うっかり腹の立つ作品に出くわしてしまったら…
控えめに、ブログに書いて心を浄化しよう。そうしよう。
と思ったら、「2kz」、Kindle読み放題リストに入っていた。
寝る前に、続きを読もう。
夜の健康観察日記
晩ご飯(グラタン…簡単なやつ)を作ったところで、体力切れ。
関節の痛みは、それほどでもない。
ただし、手を握ると結構痛い。
短歌
永田和宏「現代秀歌」から。
あの夏の數かぎりなきそしてまたたつた一つの表情をせよ 小野茂樹
「あの夏」に多くの表情を見せた相手と、どんな関係だったのかは、歌を読んだだけでは分からない。
恋人なのだとしたら、もはや豊かな表情を見せ合う間柄ではなくなっているか、もう会えなくなっているかのどちらかのような気がする。
「表情をせよ」というのは、ずいぶん強引な命令だけれど、二度と戻らない「あの夏」の記憶を、す脳がすり切れるほど検索しつづけている人の言葉だと思えば、叶うことのない切ない願いと受け止められる。この人は、どれだけの思いを「あの夏」に残して、取り戻せない痛みを感じているのだろうかと。
この短歌を収録した歌集「羊雲離散」(昭和43年)が出版された二年後に、交通事故で亡くなったのだという。
ウィキペディアの「小野茂樹」のページの人物説明から、少し引用。
「少年期の学童疎開(9歳で長野県に集団疎開し、栄養失調状態で帰京)の経験が作品に濃厚な死の影を落としている」
「恋愛、失恋、結婚、離婚、再婚などで私生活の面で一部の注目を集めたが、1970年に交通事故のため33歳で死去」
この、読むだけでつらくなるような経歴のどこかに、「あの夏」と、とどめておきたい「表情」があったのだろうなと……
想像するだけでやめておけばいいものを、ついgoogleの検索窓にあれこれと打ち込んで探してしまったものだから、この歌人の死があまりにも大きな悲劇であったことを知ってしまい、よけいにつらくなってしまった。
(ネットで知った情報を書き留めようかと思ったけど、なんだかすごくがさつな行為のような気がして、やめた)
こんな切ない相聞歌はない。
残された方は、この歌をみるたびに、張り裂けるような思いをされたのではないか。
この短い言葉で、見ず知らずの人間まで、生き別れ、死に別れる思いの深みに引きずり込んでしまうのだから、短歌は恐ろしいと思う。