湯飲みの横に防水機能のない日記

色々壊れてて治療中。具合のよくないときに寝たまま携帯で書くために作ったブログです。ほんとにそれだけ。

パニック障害を万葉集で治療できるかどうかという実験

 

あいかわらずの不調。

 

 

得たいの知れない極度の不安。

数十秒に一回、何かに「ぎょっ」とする感じ。

特定の音に過敏。とくに電話やドアのチャイム。

外出が、極度にしんどい。

食欲は少し戻ったけど、自宅に一人でいるときには、ほとんど何も食べられない。

 

軽度の(と自分では思っている)パニック発作の再発である。

これが、かれこれ10日ほど続いている。

 

先週、主治医には状況を報告したけど、なんか妙に強がってしまって、「休んでれば回復する」みたいなことを強調してしまった。アホかと。でも、薬の増量を望んでいないから、そう言うしかなかった。抗不安薬、あれは、ヤバい。少なくとも私には合わない。飲めば確実にラクになるけど、強烈な依存を引き起こす。それを体験したから、もう飲みたくない。

 

なんにせよ、まいった。

 

 

とにかく薬に頼らずに、人生の「安心」を取り戻したい。

日常の、なだらかでつつがない感じ。

あれを心身が忘れてしまっている気がする。

 

 

しんどくて何も読めなかった間、古典に触れたいと、心底思った。

 

なので、唐突に万葉集を読みはじめた。

枕元の本棚にあった、この本。

 

 

万葉百歌 (中公新書 19)

万葉百歌 (中公新書 19)

 

 

たぶん、学生のころに買ったんだと思う。

わかりやすいけど、あまり好きではない。

上代特殊仮名遣いなどについての国語学の研究業績をうっすらバカにしていたりするし。

 

でも重たい本は仰向けに寝転がって読めないし、他の本を探す元気もないので、この新書を頭から読みながらメモを取ることにした。

 

最初に掲載されていた歌。

 

------------------------------------- 

万葉集 巻二 88  磐姫皇后 

秋の田の穂の上に霧らふ朝霞何処辺の方にわが恋ひ止まむ  

(あきのたの ほのへのきらふ あさがすみ いつへのかたに わがこひやまむ)

 

-------------------------------------

 

これはきっと、ほとんど視界ゼロの濃霧だろうと。

 

かろうじて周囲の稲穂や稲の葉は見えるものの、四方どこを見ても霧に阻まれ、見通しが全くきかない状態ではないかと想像する。

 

周囲の木立や建物などは、輪郭のさだまらない灰色の影でしかなく、朝日が当たれば黄金に輝くはずの稲穂も、枯れ野の草の色合いと変らない。

 

そのくらいの陰鬱な光景でないと、磐姫皇后の逸話からうかがい知れる深い苦悩との釣り合いがとれないように思う。


豊かに実った稲穂ともども、輝きを阻む懊悩の霧に閉じ込められて、一歩も動けない詠み手には、もはや恋を停止することでしか救われないと分かっている。

 

人の心の中の恋の停止、恋の決着などというものは、いつ、どこで、どのようになされると明確に説明できるようなものではないだろう。草木が枯れ落ちてじわじわと朽ちていくように、それを抱え込んだ人の心や命を蝕みながら、終ろうにも終われない長い時間を占め続けるのではなかろうか。

 


それにしても、磐姫皇后と、その夫だった仁徳天皇の夫婦問題は、浮気や嫉妬による痴話喧嘩というには、血なまぐさすぎる。そしてちょっとワケがわからない。


ウィキなどを拾い読みして、粗忽に理解したところでは、


・もともと嫉妬深いことで知られていた磐姫の留守中に、仁徳が異母妹と浮気。旅先てそれを知った磐姫は激怒し、そのまま家出(?)。

 

・異母妹が磐姫の怒りを畏れて退散したので、仁徳はさらに別の異母妹に求愛。

 

・その異母妹は、磐姫の怒りを畏れて仁徳の求愛に答えずに別の男性と関係し、その男性にクーデター(仁徳殺害)を起こすようにそのかす。

 

・怒った仁徳は、部下に命じて異母妹とその夫を殺害させる。

 

・その部下の妻が、殺害された異母妹の装身具を身につけていたのを、いつのまにか帰宅していた磐姫がめざとく見つけて、部下を処刑。

 

・嫉妬深い磐姫の死後、仁徳はやっと最初の浮気相手だった異母妹を皇后に迎える。

 

磐姫の心情と同じくらい、歴史も霧のなかにある。

 

 

で、イメージ画像みたいなのを(iPhoneでテキトーに)描いてみたんだけど、心象がモロにかぶったようで、暗いわー。

 

f:id:puyomari1029:20190620150920j:plain

 

 

 

さて、夕方からまた病院。

外出たら黒い太陽が見えそうだ。

出たくないなあ。

病院受付まで、徒歩五分なんだけど。

 

 

 

 

破壊神とか人間失格とか

 

体調不良で沈没していた。

読んだり書いたりすると疲れてしまうタイプの不調だったので、読み書きせずに、必要な家事以外はできる限り何もせず、ネットも極力見ずに休養していた。


( _ _ ).。o○


とはいうものの、ドラクエビルダーズ2は欠かさずプレイして、ストーリーモードのエンディングに到達。主人公とシドーの友情の深さに年甲斐もなく涙した。


いやほんとに、終盤、あからさまなハーゴンの陰謀によって、二人が決別してしまったときは、ゲームなのにストレスきつくて、早くハーゴンやっつけて世界平和を取り戻したい、というよりシドーを取り戻したい一心で、先を急いでしまった。

シドーがいない、ひとりぼっちのアイテム集めやものつくりの、味気なさといったらなかったのだ。


この作品の土台になっている「ドラクエⅡ 悪霊の神々」をプレイしたのは、30年以上も前になる。

ムーンブルクの王女が犬だったこととか、ラストダンジョンがやけにキツかったこととか、世界の敵であるハーゴンが超面倒くさい奴だったこととかは覚えていたけど、肝心の破壊神シドーの記憶が消えていた。ラスボスなのに、とてつもなく印象が薄かったのだ。


薄いはずだ。
善でも悪でもない、そもそも自我がないキャラだったのだから。


その破壊神が、復活した直後に主人公と出会い、孵化したばかりのアヒルのヒナみたいに主人公の後をついて回るうちに、さまざまな出会いや出来事を通して、心ある存在へと成長していくというのが、ビルダーズ2のストーリーだ。

ハーゴンとシドーの最後の会話がよかった。

世界を滅ぼすために、邪悪の限りを尽してきたハーゴンに向かって、「おまえ、ほんとは何がしたかったんだ」と問いかけるシドーには、ねじまがったハーゴンの心の奥底にある、無垢の望みが見えていたのかもしれない。


夢中になってゲームをやっている間、無理に動かなかったので、体調はじわじわ回復。

 

 

( _ _ ).。o○

 

で、ちょっと元気出てきたので、久々にTwitterのトレンドを眺めてみたら、並んでるトレンドワードが……

 

税金泥棒

首相激怒

人工地震

人間失格

 

世の中をそっと閉じたくなる。(´・ω・`)

 

この並びで「人間失格」が出てくるのが面白いけど解せなかったので調べてみたら、小栗旬主演の実写映画が出るらしい。

 

 

 

www.youtube.com

 

 

あれ?

人間失格」って、アニメにもなるんじゃなかったっけ。SFの。

 

 

www.youtube.com

 

 

実写版のほうが、元気そうだ。

 

両方みたいけど、映像作品は、まだちょっとキツい。

 

読書から再開しようか。

 

 

 

 

 

 

 

お天気が不穏、ネット詐欺も不穏

 

頭痛とめまいが治まったら、こんどはお腹の調子がイマイチ。

明日は外出の予定があるから、今日のうちに回復せねば。


( _ _ ).。o○

 

 
レジ前に「PayPay」での支払いができるというような表示を、よく見かけるようになった。

 

とくに興味を覚えなかったので、ペイペイ詐欺検挙の記事を読むまで、それがスマホ決済アプリだとも知らなかった。

 

 

www.asahi.com

 

 

www.nikkei.com

 


携帯電話番号やカード情報を盗み出すだけでなく、携帯での本人認証をすり抜けられるのだとしたら、もうなんでもアリな気がしてくる。この被害者のかたも、ペイペイのアカウントを勝手に作られたという。


「携帯とカードを持たない」以外に、この手の被害を完全回避する方法を思いつかないのだけど…。


ネット不信にどんどん拍車がかかりそうだ。(´・ω・`)

 

 

とはいえ、ネットはもう生活の一部。

水道や電気に近い存在でもある。

安全対策を意識しながら暮らしていかなくてはならないのは、現実生活も一緒ではある。

 

( _ _ ).。o○

 

アレクサと人生の物語をツイートしている方がいた。

泣けた。

 

 

 

 

 

アレクサ、とっても欲しかったのだ。

メールのハッキング疑惑が起きた、去年の大晦日までは。

 

その後、Amazonプライムも解約しちゃったし、ネットショッピング自体、ほとんどやらない、頑固なお年寄りになった。アレクサには、当分会えそうにもない。

 

 

 

 

 

 

 

熱中症とかアッシリアとか


暑い。

家のなかでじわじわと脱水している。

水分補給を怠らないようにと心がけているけれども、喉が渇いたと気づく前に、なんだか気持ち悪くなっている。気をつけないと。

 

・・・


しばらく前から、旧約聖書の拾い読みをしている。

イスラエルの古代史について知識がなかったころは、語られている内容がさっぱり頭にはいらなかった。

 

いまも知識は乏しいけれど、アッシリアやエジプトとの関係、バビロン捕囚など、大雑把な流れを意識しながら読んでいくと、強烈な言葉のつづく預言書の行間に、僅かながら見えてくるものもある。

 

あなたがたは悪を耕し、不義を刈りおさめ、偽りの実を食べた。これはあなたがたが自分の戦車を頼み、勇士の多いことを頼んだためである。

それゆえ、あなたがたの民の中にいくさの騒ぎが起り、シャルマンが戦いの日にベテ・アルベルを打ち破ったように、あなたがたの城はことごとく打ち破られる。母らはその子らと共に打ち砕かれた。


(旧約聖書 ホセア書 10章 13-14節)

 

 

ホセアは、イスラエル王国ユダ王国の末期のころに活躍した予言者であるという(ホセア書の冒頭にそう書いてある)。

 

どんな人柄の人だったのかはよく分からないけど、主の言葉に従って、とんでもない淫乱女性を妻に迎え、その妻が不倫しまくって家出した(娼婦になった?)あとにも、また主の仰せによって妻を買い戻し、元のさやにもどったという、大変な人生を送った人であるらしい。

 

当時、エジプト、バビロニアアッシリアという大勢力に取り囲まれていたユダヤの人々が、身を守るために強国に隷属し、宗教的にも支配されつつあったのは、無理のないことと思える。当時の王たちは、さぞ大変だったことだろうけれども、神さま的な視点では、そうしたありかたは、淫婦同然ということになるのだろう。

 

けれども、だからといって、「わたしは滅ぼすために臨むことをしない」と、神さまは預言者を通して伝えてくる。ホセアが不倫妻を許して迎えたように、神さまも自分の民を許すのだという。

 

預言者と言われる人々によって伝えられる神の言葉は、時として辛辣を極めるけれども、国が、同胞が、滅びるかもしれないという状況のなかで、なんとしても失政が行われないようにという、命がけの思いがあったからかもしれない。

 


・・・・


あまり関係ないけど、3400年くらい前のシュメール語の楽譜を演奏したという動画を見た。



 


The Oldest Song in the World

 

 

gigazine.net

 


リズムまでは再現できない(想像で作られている)ということだけれども、もっとゆっくりと男性の声で歌ったら、グレゴリオ聖歌風になりそうにも思える。

 

(という一文を書こうとして「グレゴリオ聖歌」をド忘れして思い出せず、数分煩悶した……脳細胞減ってるなあ。orz)

 

ちなみにうちの息子(自閉症)、乳児のころから、なぜかグレゴリオ聖歌が大好きだった。

 

 

 

重度障害児と、バッハ

 

Twitterか何かを眺めていたら、どなたかのリツイートだと思うのだが、2016年の記事が表示された。

 

「障害児産んだら人生終わったから」匿名ブログに反響の声多数!
https://news.nicovideo.jp/watch/nw2080587

news.nicovideo.jp

 

 

気になったので、元の匿名ブログを読みにいってみた。

 

そしたら、ブログには続きがあって、「人生終わった」のではなくて、まさに人生が始まった感じの展開となっていた。

 

 

anond.hatelabo.jp


追記から少し引用。

 

凄い数のブクマついてて驚いた。

いろんな人が興味を持ってくれているようでありがたく思う。

医療ケアのある重度障害児育てていると、困ったことがあってもデモとかで訴える余裕もないし(そもそも物理的にあんまり外出できないし)、

どうしたって自分たちが少数派だからと、伝えることを諦めがちになっていた。

だからこういう形で吐き出した悩みに、多くの人が意見を寄せたり拡散をしてくれたっていうのは、本当にありがたい。

今、恋をしたり、結婚式をあげたり、妊娠を喜んでいるカップルや夫婦が

いつか重症児の親になってしまった時、もう少し絶望しないですむよう社会が変わっていくといいな。

 

 


子どもが難病児、あるいは重度障害児と分かった時点で、親にかかってくる負担や制約が、どれほどのものであるか、分かった上で出産する人など、たぶんほとんどいないだろう。


うちは年子でそのダブルを経験した上で、三人目を出産している。おそらく、「分かった上で出産した」、数少ない事例だろう。


末っ子ができたと分かったとき、上の二人をとりあげてくださった主治医に、厳しい顔て確認された。


「あなたの年齢だと、ダウン症が生まれる確率はだいぶ高くなります(数十人に一人という割合を示された)。どうします?」


即答した。


「産みます。もうたいがいのことでは驚きませんし、どんな子が生まれても、育てられますから」

「ん! よく言った! がんばろう!」


深い笑みをうかべて頷いてくれた主治医の顔は、たぶん一生忘れない。


ただ、これは決して美談ではない。


私が即答できたのは、夫が全面的に家事育児を手つだってくれる人であり、経済的にもまだ余裕があったからである。そうでなければ、上の二人だけで、とっくにパンクしていただろう。


それに、上の二人を育てた経験がなければ、やはり、迷っただろうとも思う。


息子の通っていた特別支援学級で、ダウン症や、それ以外の障害のある子ども達と、たくさん出会ってきている。

 

また長女が長期入院していた小児病院では、肢体不自由の子どもたちと同室になることもあった。


だから、その育児の大変さも、他に代えがたい喜びも、身近に見聞きして知っていたのだ。

 

さいきんまた、政治家のどなたかが、「最低三人産んでほしい」云々と発言してしまって炎上していたようだ。


そういう発言を、いちいち叩くつもりはない。


ただ、世の中で、頭数やお金のことばかり意識されて、子どもたちが皆命がけで生まれてくることや、親も人生かけて子どもを育てるのであるということが、実感としてわかりにくくなっているのだとしたら、怖いことだと思う。

 

 

・・・・・

 


子だくさん関連で、作曲家のバッハの二番目の妻の手記のことを思い出した。

 

バッハの思い出 (講談社学術文庫)

M・アンナ・バッハ

 

 

バッハの思い出 (講談社学術文庫)

バッハの思い出 (講談社学術文庫)

 

 

 


バッハは生涯に2度結婚し、十一男九女の20人の子供をもうけたが、10人は夭逝し、成長したのは男子六人と女子四人の10人に過ぎなかった。

(ウィキの記事より)


もう十数年も前に読んだ本だから、細かなことは忘れたけれど、この手記のなかには、現代なら自閉症と診断されそうな息子についての思い出も書かれていたはずだ。

 

その子のその後の人生は、どんなだっただろう。

 

ちなみにうちの息子はバッハの「マタイ受難曲」を聞くと、パニックが収まる。